会見で辞意を表明した安倍首相(2020年8月28日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(平井 和也:翻訳者、海外ニュースライター)

 7年8カ月にわたる第2次安倍政権の業績は、海外でどう評価されているのか? 「過去数十年の日本の指導者の中では最も多くの成果を上げた」──米国ワシントンD.C.に本部を置く著名シンクタンクの研究員はこんな賛辞を送っている。

 8月28日に安倍晋三首相が持病の潰瘍性大腸炎の再発を理由に辞任する意向を表明した。国内外のメディアは安倍首相の辞任を一斉に速報で伝え、その後、安倍政権を総括する記事を続々と発表している。

 朝日新聞の世論調査によると、第2次安倍政権の7年8カ月の実績評価として、「大いに」(17%)と「ある程度」(54%)を合わせて、71%が「評価する」と答えたという。

 このように国内外のメディアが報道する中で、戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長兼日本部長のマイケル・グリーン氏と日本部所長補佐兼シニアフェローのニコラス・セーチェーニ氏は8月28日に共著論考を発表し、安倍政権の7年8カ月を好意的に評価・分析している。マイケル・グリーン氏は、ブッシュ政権下で大統領補佐官(アジア担当)兼国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長を務めた、日本の安全保障政策の専門家である。以下にその概要を紹介したい。