(平井 和也:翻訳者、海外ニュースライター)
日本政府は6月24日に開いた国家安全保障会議(NSC)で山口県と秋田県への迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止を決定した。河野防衛大臣は翌25日に自民党の安全保障に関する会議の場で「国家安全保障会議で議論をいただいた結果、山口県および秋田県へのイージス・アショアの配備を撤回する決定に至った。こうした事態に至ったことを、深くおわび申し上げる」と述べ、両県への配備を断念したことを明らかにした。
河野大臣は自身の公式サイトで、イージス・アショアを導入しようとした理由について次のように述べている。
<北朝鮮が保有する日本を射程に収める各種の弾道ミサイルから、24時間、365日、我が国を守るために、自衛隊は、イージス艦を運用しています。
2017年の夏に、北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返し、弾道ミサイルが日本の上空を飛び越えるという事態まで発生しました。
イージス艦は、日本海で弾道ミサイル防衛の任務に就いていますが、艦艇の整備や補給で港に入る必要があり、複数のイージス艦が交代で任務に就く必要があります。
また、長期間の洋上勤務が繰り返されることとなり、乗組員の勤務環境は極めて厳しいものとなっています。
陸上のシステムであるイージス・アショアを導入することにより、イージス艦の乗組員の負担も大きく軽減され、また、イージス艦を東シナ海などにおける安全確保のための任務に就かせることができるようになります。
そこで、2017年12月、国家安全保障会議の議論を経て、政府としてイージス・アショアの導入を閣議決定しました。>
米ランド研究所のジェフリー・ホーナン氏の分析
7月6日、今回の日本の「イージス・アショア」配備計画の停止に関して、米ランド研究所の政治学者であるジェフリー・ホーナン氏が興味深い論考を発表した。