純資産残高で選ぶなら①:グローバルAIファンド

 2020年5月末時点で、もっとも純資産残高の多い投資信託は三井住友DSアセットマネジメントの『グローバルAIファンド』です。純資産が多い=より多くの人が資産を預けている観点から、もっとも人気のファンドともいえるでしょう。

 同ファンドでは、AIテクノロジーそのものを開発する企業だけでなく、AIの開発に必要な技術や、AIを活用したサービスを提供する企業にも投資するのが特徴。AI産業の上流から下流までを幅広く投資対象にしています

 今回比較した投信の中では比較的運用期間が長いこともあり(2016年9月設定)、2020年5月末時点の設定来の騰落率は92.0%。コロナショックからも力強い回復を見せました。

 筆者は以前、同ファンドのファンドマネージャーさんの取材に同席させていただいたことがあります。「多くの産業における成長ドライバーになるAI分野への投資は、単なるテーマ型投資に留まらず、幅広い業界への分散投資ともいえる」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 『グローバルAIファンド』には為替ヘッジあり/なし、予想分配金提示型の為替ヘッジあり/なしの、計4つのバリエーションがあります。2020年5月末時点では、シンプルな為替ヘッジなしタイプがダントツで人気のようです。

純資産残高で選ぶなら②:野村 グローバルAI関連株式ファンド

 2020年5月末時点で2番目に純資産残高が多かったのは、野村アセットマネジメントの『野村 グローバルAI関連株式ファンド』です。為替ヘッジありの「Aコース」と為替ヘッジなしの「Bコース」の純資産残高を合計してみると、1位の『グローバルAIファンド』に僅差で迫っていることが分かります。

 一方、4位以下とは大きな差があるため、現在のAI投資信託ランキングでは『グローバルAIファンド』と『野村 グローバルAI関連株式ファンド』が2大勢力といえそうです。

 そんな『野村 グローバルAI関連株式ファンド』は、AIの中でもとくに下記の3分野に注目するのがポイント。

  • IT関連:フィンテック、ソフトウェア、セキュリティなど
  • 産業関連:IoT、ロボット、自動運転など
  • 医療・ヘルスケア関連:新薬、機器、新治療法開発など

 より有望な分野に投資先を絞り込むことで、パフォーマンスを向上させる考えなのでしょう。『グローバルAIファンド』と比較して、信託報酬がやや低いのも魅力です。

 為替ヘッジありの「Aコース」と為替ヘッジなしの「Bコース」の間でスイッチング(乗り換え)が可能なので、「為替の先行きが怪しくなってきたから、ヘッジありに変更する」など、柔軟な使い方もできそうです。

コストで選ぶなら:Oneフォーカス AI

 「低コストなファンドで、気軽にAI分野への投資を始めたい」という人には、アセットマネジメントOneの『Oneフォーカス AI』が投資先の候補になるでしょう。信託報酬は年間で税込み0.495%。他の投信と比較しても、群を抜いて安くなっています。

 安さの背景には、同ファンドがAIに投資する投信には珍しい「インデックス型」であることが挙げられます。あらかじめ決められた指数への連動を目指すインデックス型の投資信託なら、投資先を一から探すよりも、コストを抑えた運用ができるというわけです。

 同ファンドが連動を目指すのは、ドイツのSolactive社が算出する『Solactive Global Artificial Intelligence Index(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジなし)』。AIに関連した商品・サービスを展開する企業で構成される指数です。

 2020年1月に運用をスタートし、いきなりコロナショックに巻き込まれる……という嵐の中の船出となった同ファンド。今後のパフォーマンスに注目したいですね。

 ちなみに、アセットマネジメントOneのテーマ型インデックスファンドシリーズ『Oneフォーカス』からは、AI以外にもさまざまなテーマ型ファンドが低コストで提供されています。なかには「ミレニアルズ」などユニークな投資テーマもあるため、気になる方はチェックしてみるのも面白そうです。