(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所・客員研究員)
群馬県が、ネット上で誹謗中傷の被害を受けた人に対して、支援する条例の制定を検討していることが明らかになりました。相談を受け付ける窓口の設置も検討しています。条例は県民のネットリテラシー向上を目指すものとして位置づけ、7月には有識者による検討会を設置して議論をはじめる予定とのことです。
発信者を特定することは難しくない
SNSで誹謗中傷被害を受けていた女子プロレスラーの木村花さんが亡くなった事件をきっかけに、SNSについての議論が高まっています。
では、もしネット上にあなたについての誹謗中傷が書き込まれていたら、どうやって身を守ればいいのでしょうか。
個人が削除要請をするための無料の相談窓口(違法・有害情報相談センター:https://www.ihaho.jp/)などもありますが、削除要請する相手(掲示板やブログの作成者や管理人、サイト管理者、プロバイダなど)を特定するのも難しい場合がありますし、仮に相手先が見つかっても、個人が要請しても対応してくれるとは限りません。また形式に則っていないと相手にすらしてもらえません。
もしも金銭的に余裕があるならば弁護士など専門家に依頼するのが良いでしょう。同時に、法的手段の検討も始めることができるからです。ネット上の誹謗中傷は、名誉毀損罪、侮辱罪という犯罪になります。
あなたが被害者になった場合、弁護士から相手に通知を出してもらうだけでも効果が期待できますし、それで済まなければ法的手段に入ってもらうこともできます。弁護士に依頼すると決めた場合、証拠が必要になりますので、投稿された画面をスクリーンショットなどで保存しておく必要があります。
あなたは、被害を拡大させないことに注力することです。相手を刺激することで、相手がさらにあなたを深く調べるきっかけとなったり、誹謗中傷を加速させたりするリスクがあります。まず守るべきなのはあなた自身の精神状態です。堪えられるレベルの誹謗中傷であればあえて見て見ぬ振りをすることも一考です。またどのように受け止めればダメージが少ないかをよく考えて、信頼できる人に相談することもいいでしょう。