5月11日、参議院予算委員会での安倍晋三首相(写真:つのだよしお/アフロ)

(政策コンサルタント:原 英史)

 5月9日深夜から10日朝にかけて、ハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」がtwitter上で広がった。著名な芸能人らも参戦し、一時は500万ツイートにも達したという。その後、なぜか大量のツイートが削除されたらしいが、不可思議な出来事だった。

 経過はともかく、広まった内容はフェイクニュースの類だ。「安倍内閣が、政権に近い黒川弘務氏を検事総長につけるため、改正案を成立させようとしている」といった話は、完全に間違い。「黒川氏の定年延長」と「検察庁法改正案(定年延長の法改正案)」とは別の話だ。

黒川氏の定年延長はすでに決定されてしまっている

 論点の整理は、別稿『「#検察庁法改正案に抗議します」にも法案にも、反対する』に書いたが、ポイントだけかいつまんで記しておく。

(参考)http://agora-web.jp/archives/2045969.html

1、「黒川氏の定年延長」は、現行制度のもとで、今年1月に閣議決定済み。国家公務員法の特例延長の規定を検察官に適用したのが妥当だったかは疑いあるが(私は違法だと思うが)、ともかく決定されてしまった話だ。

2、一方、「定年延長法案」は、以下の内容だ。

・公務員一般は60→65歳(国家公務員法改正)

・検察官は63→65歳、定年の特例延長の規定追加(検察庁法改正)

 これは10年以上前からの懸案課題であり、人生100年時代に向けた働き方改革の流れで法案提出されていた。