こういう状況ではなかなか旅行にも行けないが…長野県御射鹿池©Suganu0405 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)

(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)

 新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が全国にまで拡大された。さらなる外出自粛が求められている。こうまで大量の悲観的な情報に晒され続けると、一歩外に出ると空気中にウイルスが蔓延しているのではないか、というように錯覚しそうである。その一方で、相変わらず自分だけは大丈夫だと過信する連中たちでにぎわう街もある。

 いずれにせよ、毎日毎日「感染するのではないか」と不安になっていてもしようがない。家の中で、できるだけストレスなくすごそうとするしかない。

出色の「テレビドラマ再放送」

 テレビ番組は軒並み再放送が増えてきたが、そのなかで出色の再放送番組があった。約10年前に放映されたTBSドラマの「JIN-仁-」である。これが4月19日と20日に3時間ずつ、「JIN-仁- レジェンド」として再編集され、放映されたのである。

 こんなに感動的なドラマだとは思わなかった。堪能した。今後も4月25日と26日、5月2日と3日に続編が放映される予定で、楽しみである。

「白い巨塔」(DVD、2003年放映)

 2月にはフジテレビで、唐沢寿明主演の名作「白い巨塔」(2003年放映)が再放送され、大いに楽しんだ。あまりにもおもしろかったので、1978年に同じフジテレビで放映された田宮二郎主演のDVDを借りて見たほどである。こういう再放送となると、ネットなど相手にもならない、テレビの独壇場である。

 各局、ドラマやドキュメンタリーを問わず、さまざまな名作群を所蔵しているはずである。できることなら、1987-88年にNHKで放映された珠玉の連続ドラマ「イキのいい奴」「続イキのいい奴」の再放送を望みたい。小林薫と金山一彦が主演した鮨職人の物語である。やたら殴る場面が多くて今の時代多少問題があるかもしれないが、かまうことはない。

将棋を知らなくても感動できる

 日がな、テレビだけを見ているわけにもいかない。家ですごすには映画と読書も最適だ。レンタルDVDショップも営業している店がある。DVDで見た中では、松田龍平主演の「泣き虫しょったんの奇跡」という映画がおもしろかった。監督は豊田利晃。初めてアマチュアからプロ棋士になった瀬川晶司という人物の半生を描いた青春映画である。

 プロ棋士になるには、日本将棋連盟の棋士育成機関である奨励会に入り、26歳までに4段にならなければならない。全国からその地方で神童とか天才といわれた少年や青年たちが集まり、しのぎを削りあうのである。しかしプロになれるのは30人ほどのなかから毎年4人だけ。26歳までに4段になれない者は、退会しなければならない。瀬川晶司は中学3年で奨励会会員になった。多少遅いかもしれない。ちなみに羽生善治が奨励会に入ったのは小学6年のとき、藤井聡太は小学4年のときである。