宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回も、前回に引き続いて「不動産投資」をテーマに、現物不動産投資とリートの特徴や違いについて説明いたします。
現物不動産投資は「意味のある借金」
前回は「不動産投資信託」について、その形態と種類などについて話をしていきました。
しかしながら、ここに来て新型コロナウイルスの感染拡大により、世界規模の経済損失につながりかねない模様を呈してきました。ウイルスの感染がいつ収束するかは不明であり、市場の動揺がなかなか収まらない状況です。長丁場を覚悟しなければいけないかもしれません。
不動産投資信託(リート)も例外ではありません。リートにもさまざまなタイプがありますが、ホテルを保有するタイプのリートは、アジアからの旅行客が減り、多くのホテルで宿泊のキャンセルが相次いでいるため、リートはもちろん、リートに投資する投資信託も運用の悪化が懸念されます。もちろん不動産だけでなく株価も下落しているため、株式を対象とした投資信託の分配金にも影響があるでしょう。
投資信託の説明書には、価格が下落しうる要因として「投資リスク」が書かれています。その中には、「国内外の政治・経済情勢の急変、天災地変などで価格が下落することがある」と記載されています。まさに今回がその状況ですが、私たちとしては、経済が停滞しないよう「できることをする」を実践していくだけです。
新型コロナウイルスは不動産投資にも大きな影響を与えていますが、現物の不動産を運用している方は、リートと比べれば損失が少ない傾向もあります。
そこで、今回からはリートと現物の不動産投資について数回にわたって話をしていきます。
【質問】
老後の生活を安定させるためということで、あるハウスメーカーから「アパートを持ちましょう。リスクは少ししかありませんから大丈夫です」と話があったっちゃけど不安。高額な出費だし、仕事も製造業で景気が悪いと給料が減ったりすることもあるから怖いなぁ。どうじゃろか?
こんな相談は何度か受けたことがあります。自分の住家でも慎重に検討するのに、まして資産運用のために不動産を購入しようとしているのですから、二の足を踏むのは当然のことです。
ですから、最初に「現物の不動産投資」に向いているのか、別の方法としてリートなどがいいのかを考えましょう。
前回も話しましたが、不動産はお金があって裕福な方だけが持つものではありません。
マイホームのためならお金を貯めて20~35年のローンを組むのに、「運用のための現物不動産」になると気持ちがなくなってしまう方は多いと思います。ただ、マイホームは、自身の満足度で考えれば良い買い物といえるかもしれませんが、リスクという観点で考えれば、マイホームはリスクがある「意味のない資産(借金)」とも見なせます。これに対し、現物不動産投資は投資した人が利益を得るためのものなので、「意味のある資産(借金)」と見なせるわけです。