18日のNY市場は、米S&Pが米国債格付け見通し引き下げを発表したことで一気にリスク回避の動きが強まった。ダウ平均が一時240ドル超の大幅安になるなどややパニック的な動きもみられた。金先物は逃避資産買いで一時1500ドルに迫った。ドル円は発表を受けて82円台後半から前半へと下落。クロス円も全面安で、ユーロ円は117円台後半から一時116円台半ばへ、ポンド円は134円台半ばから一時133円割れまで急落した。予算案を巡る一連の米議会の動きから米財政赤字削減への不透明感が広がったことが背景。ドル相場は、まずドル売りの反応をみせたあとは、クロス円の下落圧力にともなってドル買いへと転じた。ユーロドルは1.4350近辺まで上昇後、1.4150近辺まで下落する激しい展開だった。ユーロにとってはロンドン市場から引き続きギリシャ債務再編への思惑やフィンランド総選挙結果などのソブリンリスク懸念も上値を抑えた。ギリシャ2年債は20%台、ポルトガル2年債は10%台へと利回りが上昇、ともにユーロ導入来初となっていた。NY中盤からは株式市場の下げが落ち着いてきたことでドル円、クロス円も反発しているが、S&Pの発表前の水準には戻りきれていない。
◆米金融当局者はインフレ懸念を表明
この日は特段の注目経済指標の発表はなく、S&Pの発表を除くと米金融当局者の発言が話題になっていた。ロックハート・アトランタ連銀総裁はジョージア州大学でのイベントで、石油価格上昇が消費活動を抑制すること懸念、1バレル=150ドル以上への上昇は景気後退の効果をもたらす、など具体的な数字を挙げていた。また、同イベントに出席したフィッシャー・ダラス連銀総裁も、デフレと戦って撃退することに成功した、FRBはQE2により6月まで連邦債務を貨幣化、インフレ圧力が存在、コアインフレに注目している、などインフレへの関心を示していた。また、これとは別にブラード・セントルイス連銀総裁は講演で、総合インフレの抑制が最終目標、コアインフレは裁量に大きく委ねられる、現在の状況ではインフレ目標は賢明な選択肢、との持論を展開した。フィッシャー総裁とは注目するインフレ指標が違うようだ。ただ、現在の石油価格は米景気に影響するほど高過ぎではない、とも述べており、この点ではロックハート総裁と似通った認識だった。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)