(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
パンデミックとなった新型コロナウイルスが世界経済を直撃している。中国の自動車産業も大きな打撃を受けた。
中国の自動車メーカー各社がつくる業界団体、中国汽車工業協会によると、2020年2月の国内新車販売台数は前年同月比79.1%減の31万台まで一気に落ち込んだ。
感染防止のため、武漢を中心に中国各地での自動車の最終組付け工場や、自動車部品関連企業が稼働を停止。そのため、中国各地でディーラーが一時的に閉店し、消費者マインドが冷え込んだ。
中国での感染とやや時間差があり、3月に入ってから新型コロナウイルス感染者が一気に増加して非常事態宣言を宣言したアメリカや、域外からの渡航を30日間原則禁止した欧州連合などでも、中国と同様に自動車販売が大きく落ち込む危険性が大きい。欧州のメディアは、フォルクスワーゲンなど自動車大手各社の「当面の間、製造と販売の予測は立たない」というコメントを報じている。
日本の自動車業界への影響
一方、日本ではいまのところ、新型コロナウイルスによる自動車産業への影響は少ない。
まず販売面だが、日本自動車販売協力連合会と全国軽自動車協会連合会が発表した2月の新車販売速報では、全需は前年同月比10.3%減にとどまっている。そもそも2019年10月の消費税アップの影響で同年10月から2020年1月まで前年比割れが続いおり、販売台数に対するコロナショックの直接的な影響が算出しにくい。