2019年末に中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの猛威は収束が見えないどころか、世界中に感染が広がり、社会や経済に暗い影を落としています。今回の新型肺炎の影響で、2020年の株価や為替などがどう変化したかを振り返ります。(当記事の見解は2020年2月26日時点のものです)

「経済活動の自粛」が株価などに影響

 2月26日、日本政府は国内で行われる大規模なイベントに関して、今後2週間は中止・延期などの措置を取るように要請しました。25日にはJリーグが公式戦の日程を延期することを発表したり、音楽イベントなども続々と中止が伝えられてきましたが、今回の政府の決定により、当面は国内のほとんどのイベントが開催を自粛する運びとなりそうです。経済的損失は計り知れませんが、住民の安全が何よりも大切です。

 新型コロナウイルスが経済に与えうる影響について、当サイトでは1月22日に下記の記事を掲載しました。

 パンデミックと経済 新型コロナウイルスが株価を下げる?

 もし、新型肺炎の感染が爆発的に広まる「パンデミック」が発生したら、世界経済はどのような打撃を受けるのでしょうか。
 筆者の寺本名保美さんは、記事で以下のように述べています。

 パンデミックの経済被害の特徴は、実際に人的被害が広がるかどうかより、パンデミックの発生に備えた経済活動の自粛による、間接的な停滞の影響が大きいところにあります。
 ……感染者による直接的な被害は想定金額の39%にすぎず、経済損失の大部分は健康な人々の経済活動の停止に伴うものであるとされています。

 各種イベントの中止は、まさに「経済活動の自粛」です。いくつかの大企業では社員の出社を禁じて自宅勤務を命じる措置を行っていますが、みんなが会社へ行かないようになれば、帰りに買い物をしたり一杯引っかけたりする人もいなくなります。週末にショッピングモールへ行くこともためらわれるでしょう。消費の一時的な冷え込みは避けられず、もし感染症の蔓延が長引くことになれば、経営危機に陥る企業も出てくると思われます。

 2月24日、日本は天皇誕生日の振替休日でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大が報じられた影響で、米国などでは株価が大きく下落しました。翌25日には日本の株価も急落しました。
 株価だけではなく、さまざまな経済指標が新型肺炎の影響を受けることとなりました。

年明けから大きく上がった資産は?

 ここでクイズです。

 以下の折れ線グラフは、ある資産の値動きを示したものです。
上が2020年1月2日から2月25日まで。下が2月1日から25日まで。いずれも初日の値を100として指数化したものです。
該当する資産は下記の7種類です。グラフの①~⑦のどれがどの資産なのでしょうか?

・ドル/円の為替レート
・ビットコイン/円の交換レート
・TOPIX(東証株価指数)
・S&P500(米国の株価指数)
・上海総合指数(中国の株価指数)
・金先物価格
・WTI原油先物価格

2020年1月2日~2月25日
2020年2月1日~2月25日

 1月からの値上がりが最も大きく、値動きが最も激しいのは①です。逆に、値下がりが大きいのは⑦でした。逆に、値動きが最もおだやかなのは③ですね。値動きがほどほどでしっかり値上がりしている②は、どの資産なのでしょうか?

 2月の値動きを見ると、2月24~25日に大きく値下がりした資産と、それほど下がらなかった資産があります。
 上記のグラフでは為替、金、原油の基準が標準時(日本との時差は9時間)となっているので、日本や中国との時差も考慮する必要がありますが、③と④は比較的小さな値下がり幅でした。

 どのグラフがどの資産の値動きを示しているか、おわかりでしょうか?