最近はNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)のように、投資に税金がかからない制度がありますが、FX(外国為替証拠金取引)のように、こうした制度とは無縁な投資手法もあります。確定申告を行わなければ脱税に問われるケースもありますので、税制について正しく知ることが大切です。
NISAの対象外となる金融商品の多くは「雑所得」
証券会社では多種多様な金融商品を取り扱っていますが、そのすべてがNISAを利用して非課税で投資できるわけではありません。
NISAで投資できる金融商品は以下のとおりです。
- 株式、REIT、ETF(上場投資信託)の現物取引
- 投資信託
- 外国株式、海外ETF
逆に、NISAで投資できない主な金融商品が以下です。
- 公社債投資信託
- 社債
- 株式の信用取引
- 先物取引
- オプション取引
- FX(外国為替証拠金取引)
- 仮想通貨
NISAで投資できない金融商品のうち、公社債投資信託を除くほとんどの商品は、その利益は「雑所得」として扱われます。所得税は、株式や投資信託などと同じく約20%の税率となります。
利益が20万円を超えたら確定申告が必要
債券や先物取引、FXのような雑所得扱いの金融商品と、現物株式や投資信託などとの大きな違いは2つあります。
ひとつは「損益通算」です。金融商品は実際に得られた利益が課税対象となるルールなので、株式や投資信託などのすべての利益と損失の合計で税額が決まります。
くわしく説明すると、株式や投信の売却益は「譲渡所得」、配当や分配金で得られた利益は「配当所得」として、他の所得(給与など)とは異なるルールで税額が決まります。この譲渡所得と配当所得の合計が課税対象となります。
たとえば、投信Aを運用して1万円の分配金を受け取り、売却の際に10万円の利益が出た一方で、株式Bを売却した際に5万円の損失が出たという場合は、差し引き6万円が課税対象となります。これらを特定口座や一般口座で運用していた場合は20.315%の税金がかかるため、6万円×20.315%=1万2189円の税金を支払うことになります。手元に残る利益は、6万円-1万2189円=4万7811円となります。
ところが、同じ年にFXでも投資して3万円の損失が出た場合、株式や投信との損益通算はできません。税引き前の利益は、11万円(投信Aの利益)-5万円(株式Bの損失)-3万円(FXの損失)で3万円となりますが、課税対象となるのは6万円のままです。譲渡所得や配当所得と、FXの雑所得は完全に別物として扱われるためです。
この場合に支払う税金は上記の例と同じく、6万円×20.315%=1万2189円となりますが、手元に残る利益は、3万円-1万2189円=1万7811円。見かけ上の税率は、1万2189円÷3万円=40.63%となってしまいます。
もうひとつの違いが、確定申告です。株式や投資信託の場合、特定口座を開設すれば、投資の損益に応じて自動的に税金が支払われます。FXなどでは現時点でそのような制度はないので、自ら確定申告を行わなければいけません。
実際には年間の利益が20万円以下の場合は申告しなくてもよく、この点は株式や投信より有利といえますが、利益が20万円を超えた場合は、きちんと申告しなければ脱税扱いとなります。
FXや先物取引はNISAの対象外であるだけでなく、税金の種別も株式や投信とは別だということを知っておきましょう。
※本記事の内容は2020年2月時点での税制に基づきます。