2月20日、衆議院予算委員会で質問に答える橋本聖子五輪担当相(写真:つのだよしお/アフロ)

 新型コロナウイルスの猛威が止まらない。日本のプロスポーツ界もモロに影響を受け、大きく混乱している。プロサッカーのJリーグは3月15日までに予定していた全公式戦の中止と延期を決定。国内男子プロバスケットボールのBリーグも3月11日までに予定されていたB1とB2の計99試合を延期すると発表した。

 そしてプロ野球のNPB(日本野球機構)でも12球団代表者会議が行われ、3月15日まで組まれていた残りのオープン戦全72試合を無観客試合とすることを決めた。26日に政府から「今後2週間は大規模なイベントを中止、延期または規模縮小などの対応を要請する」との告達が出されたことも拍車をかけ、各プロスポーツ界は具体策を示さざるを得ない状況となっている。

IOC委員が口にする東京五輪開催への懸念

 これらの先にあるのはやはり東京五輪開催の可否だろう。

 JリーグとBリーグ、NPBはお膝元の日本で行われるスポーツの祭典に対して所属選手たちを日本代表として参加させる運びとしていることから、どの組織も全面的な協力体制を整えている。そして水面下で東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会やJOC(日本オリンピック委員会)なども束ねながら陣頭指揮を執っている政府は、新型コロナ禍に苦しみつつ、何が何でも大会を成功に導こうと国運を賭すつもりでいるらしい。

 しかし今はとにかく気が気でないはずだ。国際オリンピック委員会(IOC)で委員を務め、キーパーソン的な立ち位置にいる有力者のディック・パウンド氏がAP通信のインタビューに応じ、東京五輪の開催時期の判断期限は引き延ばせて5月下旬がリミットとの見解を示したからである。

 1978年から要職に就いてIOC最古参となっている同氏の発言は非常に重い。そのIOCの重鎮が中止も辞さない構えを見せたことで日本政府や大会幹部にも計り知れない衝撃が走っている。

 そんなドタバタぶりを証明するかのように橋本聖子五輪相が26日の衆院予算委員会で、AP通信のインタビューで口にしたパウンド氏の発言を大慌てで強く否定。東京オリ・パラ大会組織委員会がIOCに説明を求め、回答を得たとし「IOCの公式見解ではない」と述べた。

 ところが、こうした橋本五輪相の対応を含む日本政府や大会関係者側の苦しい弁明や逃げ口上については、身内からもついに批判の声が向けられ、いよいよ愛想を尽かされ始めているというから救いようがない。