資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。
株式市場には相場にまつわる格言が沢山あります。
株式相場の起源は江戸時代、大阪の堂島で取引されていた米の先物取引に由来しています。このころ、本間宗久など有名な米相場で財を成した相場師が出てきています。ちなみに本間宗久はチャートに使われるローソク足の発明者でもあります。この米相場の時代から、投資家に相場の心得を説く格言が沢山生まれています。
そこで今回はこれから投資をはじめようと考えている方に使える相場の格言をご紹介します。
株式相場にまつわる6つの格言
1人の行く裏に道あり花の山
相場の格言の中でも比較的有名な格言です。投資家心理は相場の流れによって左右されやすく、例えば下落相場であれば総じて弱気になりがちです。しかし、後から見ると結果的にはそのような他人が皆弱気な時にはあとから見ると買い場であることが多いものです。
他人の意見を参考にすることは大切ですが、他人の意見や相場の雰囲気を鵜呑みにするのではなく、時には他人と違う行動を取ることのできる投資家が利益を上げやすいということを示唆しています。
行き過ぎもまた相場
相場は生き物です。理論通りには行かないのが相場です。この格言は、しばしば行き過ぎるということを示唆しています。例えば、下げ相場で株価が大きく下がっている状況で、理論的には株価が割安な状況であっても相場の勢いによってさらに下がってしまうような状況は多々あります。
安いと思って買いを入れた銘柄の株価がさらに下がってしまった場合、そのような時にこの格言を思い出すことができれば、下げに動じることなく、じっくりと株価の上昇を待つことができるでしょう。
同じような格言に「もうはまだなり、まだはもうなり」というものがあります。こちらも相場は行き過ぎる性質をもったまさに生き物のようなものであり、自分の思い通りにはいかないものだということを示唆している格言です。
卵は一つの籠に盛るな
こちらも分散投資の大切さを説いた有名な格言です。卵を1つの籠に入れておくと何かあったときにすべての卵が割れてしまいます。相場は思い通りにいかないことがままあるので、資金を1つの銘柄や資産につぎ込んでしまうのは、リスク分散の観点からもお勧めできません。
業種や銘柄などを分散して投資することにより、不測の事態が起きた時でも対処できるようにしておくことが大切です。
落ちてくるナイフはつかむな
落ちてくるナイフを掴んでしまうと、当たり前ですがケガをしてしまいます。ですが、床に落ちたのを確認してから拾いあげればケガをせずにナイフを拾うことができます。
この格言は、株価が急落している様子を落ちてくるナイフに例えたものです。株価も同じように急落している場面であわてて安いと思って買いを入れるとケガ=さらに下落してしまうということを戒めたものです。
買うべし、売るべし、休むべし
株式取引に慣れてくると、売り買いの回数が増えてくることもあるでしょう。そのときに利益が上手く出ていれば良いのですが、損失の回数が増えているようであれば要注意です。
そんな時はこの格言を思い出してみましょう。休むも相場なりとも言われますが、一呼吸を入れることによってリズムを取り戻せる場合もあると思います。
頭と尻尾はくれてやれ
株式投資は腹八分目が大切です。チャートの最高値で売ったと思ってもさらに値上がりしてしまう場合もありますし、最安値で買ったと思ってもさらに値下がりすることはよくある話です。
そのような時はこの格言を思い出してみてください。理想を追うことは大切ですが、ほどほどの利益で手を打つという姿勢は忘れないようにしましょう。
相場の格言は他にもたくさんある
いかがでしょうか?
相場にまつわる格言の中から有名なものをいくつかご紹介しました。相場の格言はこの他にもたくさんあります。それぞれ長い年月の中で生み出された相場に関わる人間に起こりがちな心の動きを非常に的確に表した格言ばかりです。
知っておいて損はありませんので、興味がある方はご自身でも調べてみることをお勧めします。