「国」を選ぶだけではなく、視野をもっと広げてみる
そこで、投資先を「日本」や「インド」などの国に絞ってしまうのではなく、対象をもっともっと広げてみることを考えてみましょう。
例えば、「新興国」という「国のくくり」に投資をしてみるとか。
ある新興国ファンド、つまり新興国を投資対象としている投資信託の説明書(交付目論見書や請求目論見書)を見ると、新興国ファンドが投資の対象としている国は、何と26か国もあります。つまり、1つの投資信託を買うだけで、一度に26か国に対して投資できるということです。
26もの国のうちのどこかの国が、例えば自然災害や政治情勢の悪化などで経済が悪くなったとしても、他の国はOKで、投資信託の価格は上がるということもあるでしょう。もちろん、世界同時不況みたいなことが起きたら、26か国の経済が全てイマイチで、投資信託の価格が下がる場合もあるかもしれません。それでも、投資対象が26か国もあれば、いち早く立ち直ってくれる国もまた出てくることでしょう。
ということで、投資の対象を個別の「国」ではなく、「先進国」や「新興国」などの「国のくくり」とすることを検討なさってみてはいかがでしょうか?
もちろん、「全世界(=グローバル)」というのもありでしょうね。
イタリアンだけでなく、フランス料理やベルギーのビールもたしなんでみる。カレーライスだけでなく、中華料理やトルコ料理、ベトナム料理も楽しむ。いくらイタリアンが好きでも、ずっと食べ続けたらさすがに飽きてしまいますよね。「ヨーロッパの料理」「アジアの料理」といった大きなくくりで、日替わりでいろいろと手を出してみる方が楽しそうですし、栄養のバランスも良くなりそうです。
投資も同じで、「国のくくり」で考えることで「特定の国に偏らない」投資、つまり「バランスの良い投資」が実現するのではないでしょうか?
ちなみに、新興国というのは、明確な定義がないそうですよ。
新興国と先進国との違いは?
ざっくりとしたイメージになりますが、新興国とは「今、まさに成長中!」という感じの国々のことです。
成長途中ですから、先ほどのインドでバスが炎に包まれた事件のように、いろんなことが起こり得るわけです。
「いろんなことが起こり得る」、これを投資の世界では「リスクが高い」と表現します。
成長中の新興国に対して、先進国は「イケイケな成長の段階を過ぎた、安定的な落ち着いた成長」というイメージですね。
したがって、先進国は新興国に比べて「リスクは低い」と表現できそうですが、だからといって決して先進国には「リスクがない」わけではありませんよ。例えば、以前から問題になっているアメリカと中国の貿易摩擦も、片方の当事者は先進国であるアメリカです。
「新興国と先進国、どちらが良いんだろう?」と迷っている読者の皆さま。迷ったら新興国と先進国の両方に投資するのも、もちろんありですよ。それに先述のように、いっそ「グローバル(=全世界)」に投資するのもOKです。実際に投資する場合は、投資信託やETF(上場投資信託)に、先進国全体や新興国全体を対象にした商品があるので、思い立ったら手軽に投資できます。
ちなみに、先進国やグローバルなら、その中に日本も含まれていますね。(先進国やグローバルから日本を除いて投資する商品もあります)
まとめに代えて
カレーライスで選んだインドは、投資先としてなかなか魅力的だとは思うのですが、やはり文化が違う遠い異国のことですから、「日本のほかはインドだけ」ですと、一抹の不安が付きまといますね。ということで、いろんな遠い異国をひとまとめにした「国のくくり」、すなわち新興国や先進国、それにグローバルなどのくくりを投資の対象に検討してみましょう、という結論を導きました。
日本と新興国、あるいは先進国、もしくはグローバル(=全世界)を投資の対象として検討する……。バランスの良い投資が実現しそうな雰囲気ですね、と自画自賛して締めくくります。多国籍料理のお店を経営している方も、もしかしたら同じ気持ちなのでしょうか?
〈お断り〉
本稿では日本、インド、新興国、先進国、グローバルなどへの投資を推奨しているわけではありません。分かりやすさというよりも、話の流れで出てきただけのことです。食べたい料理をご自身で選ぶように、投資の対象もまた、ご自身でお選びになることを楽しんでくださいね。