資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。
皆さんは株式投資と聞くと何を思い浮かべますか?「値動きがあって株式は損をする」などリスクに対してネガティブなイメージを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
しかし、株式投資はネガティブなことばかりではなく魅力のある立派な投資です。今回は株式投資の3つの魅力についてお伝えしていきます。
魅力1 大きな値上がり益が期待できる
株式投資の魅力のひとつは、大きな値上がり益が期待できることです。株式を買った時よりも高く売れればその差額が利益となります。投資した企業が大きく成長すれば、それだけ大きなリターンを得ることができます。
たとえば「ユニクロ」「ジーユー」を展開しているファーストリテイリングは、今や世界中で誰もが知っているアパレルメーカーです。 20年以上前に東京証券取引所に株式を上場した当時と比べると、株価は80倍以上に値上がりしました。このように、成長する企業の株式への投資は他の金融商品にはないリターンをもたらす可能性があります。
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魅力2 配当や株主優待の利回りは預金より高い
株式投資の魅力の2つ目は、株主になると企業によって配当金や株主優待がもらえることです。企業にとって、株主が出してくれたお金は銀行からの借金のように期限までに返さなければならないお金ではありません。そのかわり、企業は株主がリスクに納得して出してもらったお金に見合うリターンを返さなければなりません。そのため企業は利益の中から株主に対して配当金や株主優待を支払うことがあります。
低金利環境のなかで魅力的な「配当金」
配当金は1株当たりいくらという形式で決まります。仮に500円のA社株を1,000株買ったとすると、購入代金は50万円です(手数料などは考慮していません)。
A社の配当が年間で1株あたり10円となった場合は、もらえる配当金は10×1,000=10,000円です。1年間でもらった配当の額が10,000円で株式の購入代金が50万円とすると、利回りは2%(10,000÷500,000×100)ということになります(実際は2割ほどの税金が掛かります)。
一方、預貯金の金利は日銀の低金利政策で過去最低の水準です。銀行の1年定期が仮に0.1%だとすると、利回りの差は20倍にもなるのです。しかも日本の企業は株主に対する配当を増やす傾向にあるため、配当の利回りが2%を超えていて、なおかつ倒産する不安が比較的少ない優良企業はたくさんあります。
ただし、配当は毎年決まった額ではなく、業績が悪くなった時は減ったりなくなってしまうリスクには注意しておきましょう。ただ、その分を割り引いて考えても株式の日当は今の低金利の状況では魅力的であることがお分かりいただけると思います。
毎年決まった時期に送られてくる「株主優待」
さらに、配当金とはまた別に株主優待を実施している企業もたくさんあります。中身は自社商品やサービス優待、QUOカード、ギフト商品など、企業によってさまざまです。
たとえば小売り大手のイオンの株主優待はイオンオーナーズカードです。これは毎日の買い物で一定率のキャッシュバックが受けられたり、ラウンジが無料で利用できる便利なものです。マクドナルドの株主優待はハンバーガーやサイドメニュー、ドリンクの商品引き換え券が人気です。
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これらは株主になると毎年決まった時期に送られてきます。株主優待が楽しみだから株を売らないという個人の方は多くいます。ちなみに、株主優待も配当金と同じように内容が変わったり、なくなってしまうリスクには留意しましょう。
魅力3 経済や世の中の動きに詳しくなる
企業の株価は毎日刻一刻と変わっていきます。企業の株価を動かすのは、企業の業績が良いか悪いかだけではありません。世の中の最気や政治の動向、市場に参加するプレーヤーの心理状態、突発的なイベントなどさまざまです。
株式投資の魅力の3つ目は、このような世の中の動きや経済のしくみがわかるようになることです。ニュースを見ながら、投資した企業やその他の株価の値動きを見るようになると、より理解が深まります。
いずれはニュースを見たらすぐに、「今年は猛暑になりそうだから、エアコンメーカーや家電メーカーの株が動きそうだ」「インバウンドで日本に来る外国人の旅行者がさらに増えているらしい、小売りとかホテルの株が上がりそうだ」といったように連想がはたらくようになると思います。
株式投資の正しい姿を伝えます
いかかでしょうか?
今回は株式投資の3つの魅力をお伝えしました。
「株式投資は難しそう」「リスクがあるから怖そう」といったイメージをお持ちの方も、多いと思います。そのような方に株式投資の正しい姿をちよっとでもお伝えできるよう、今後は「株価はどうやって動くの?」「リスクとの上手な付き合い方」「おすすめの株主優待」といったように役立つ情報をお伝えしていきたいと思います。ぜひご覧ください。