2014年のAP通信記事にこんなくだりがある。「西南極の氷河融解を研究者は『不可逆』『制止不能』だという」。けれど、西南極に注目するのは詐欺の類だと憤慨する研究者もいる。アル・ゴアは「南極半島は地球全体の平均より4倍も速く温暖化中」と言ったけれど、アリゾナ大学の気候学者ベン・ハーマンがこう反論。「脅威派は南極大陸のうち南極半島だけに目を注ぐ。南極大陸全体の5%しか占めない南極半島は、たしかに気温が少し上がっている。しかし残る95%の気温は、横ばいか低下中なのだ」。

 2014年の地球惑星科学誌論文が、南極半島の氷河を融かすのは、海底火山からの地熱だと推定。また2017年の地質学会誌特集号に出た論文は、「西南極の地溝帯を調べた結果、氷の下に91個の海底火山を確認した」。

 どうやら研究者はもう1977年ごろ、西南極の氷河融解が気候変動に関係ないと知っていた。全米科学財団で氷河研究計画の責任者を務めるリチャード・キャメロンが言う。77年当時、「西南極の氷床は減りぎみに見える。ただし東南極とはまるでちがうため、気候との関係はなく、氷を融かす別の要因があるようだった」。

 地質学者ドン・イースターブルックも、海氷減少や氷河融解をめぐるメディアのホラー記事を退ける。「馬鹿げた話。まともな科学じゃない。かつて西南極の氷床が『崩壊』した事実はない。南極に異常はない。じわじわ温まる海水が、氷床の下にもぐりこんで氷を崩壊させる? 答えはノー」。南極大陸の気温が上がった気配などないと彼は断定。「氷の90%までは東南極にある。その東南極で氷は増えているのだ」。

海面上昇ペースは加速していない

 環境活動団体「憂慮する科学者同盟」の女性研究者ブレンダ・エクワゼルが2014年、「誰が何を言おうとも、海面上昇が加速しているのを疑う余地はない」と気炎を吐いた。同じ年、IPCC報告書の責任執筆者マイケル・オッペンハイマーも断定する。「過去数十年に海水面が上がり、しかも上昇が加速しているのは確実」。

 だが地質学者の故ボブ・カーターが反論する。「まったくのウソ。海面上昇の加速を語る証拠など、いっさいありません」。

 実のところ地球の海水面は、8000年前から現在まで、ほぼ同じペースで上がってきた。気候学者ロイ・スペンサーが2016年に言った。「人間活動が効くずっと前から進む海面上昇は、加速などしていない。いまも10年で約2.5センチ。巨大ハリケーンが3~4メートルの高波を生むことを思えば、『10年に2.5センチ』を心配する理由は何もない」。

 2013年の気候変動科学誌論文によれば、海面上昇の速度は2004年以降に44%ほど鈍って、いまは「10年に約1.8センチ」だという。

 ストックホルム大学の古地球物理学・地球力学科を率いた高名な地質学者ニルス=アクセル・メルネルが、フロリダの半分が水没するというアル・ゴア『不都合な真実』のホラー話を笑い飛ばす。「科学とは何ひとつ関係なく、ロビー活動のネタにすぎません。地質学上の事実と、ロビー活動やモデル予測は関係ないんです」。彼はこう補足。「コンピュータが吐き出す『急速な海面上昇』など、絶対に起こりませんよ」。