温暖化をめぐる議論は、矛盾するデータだらけのため見通しが悪い。たとえば肝心な気温データにも、衛星観測、気球観測、地上計測のデータがあって、互いにかなり食いちがう。海水準にも、潮位計データと衛星観測データの2種類がある。

 潮位計データが示す海面上昇は、年に1円玉の厚み(1.5ミリ)程度しかない。かたや1992年以来の衛星観測データの上昇速度は、なぜか潮位計データの2倍ほど大きい。

 ドイツの気象学者クラウス=エッケルト・プルスが海水準データを解析し、2014年にこう書いた。「過去100年間の潮位計データと、GRACE衛星の重力計測から得た海水準データは、年々1.6ミリ(1円玉の厚み)ほどの上昇を示す。だが1992年以来の衛星観測(TOPEX、POSEIDON、JASON)で得られた上昇速度はその2倍(3.2ミリ)もある。食いちがいの原因は、まだわかっていない」。

 ニルス=アクセル・メルネルが2017年に、潮位計データと衛星観測データの食いちがいを分析した。その結果、潮位計が海面上昇の加速を見せない半面、衛星データは「加速の向きに小細工」されていたとわかる。

 メルネルの感想。衛星データは「上昇速度を100~400%も過大評価している。衛星データが正しく、現場の潮位計データは誤っている――とIPCCやCOP21の関係者は言い張るけれど、そんなことはありえない。・・・NOAA(海洋大気圏局)とコロラド大学の衛星データは、潮位計データに合わない。・・・衛星データは『年に約3ミリ』となるよう『調整』されている。『調整』は『捏造』に等しい。クライメートゲート事件で暴かれた気温データ捏造とそっくりだ」。

 そしてメルネルはこう結論。「当面、海面上昇が加速した証拠はいっさいない。現場の潮位計データに加速は認められないから」。

 各地の潮位計データを見るかぎり、海面上昇のペースは過去100年以上ほぼ一定で、CO2排出が増えてから加速した気配はない。気候学者ジュディス・カリーは言う。「CO2排出量を減らしても減らさなくても、海水面は同じペースで上がり続けるはず」。気象学者トム・ワイスミュラーの意見も同じ。「プレートの動きが小さい地域の潮位計データは、過去130年で単調に上がり、加速はゼロ。その間にCO2は40%も増えている」。

シロクマの数は過去最高に近い

 北極の一見かわいらしいシロクマは、脅威派のアイドルだった。生態学者の故ボブ・カーターが取材のときにこう感想をもらした。「連中はイメージキャラクターがほしかった。科学とは無縁の話です」。

 実のところ、いまシロクマの数は史上最高か、最高に近い。個体数が減るというモデル計算の予測は事実に合わない。シロクマは適応力の強い動物なのだ。