PERを使って安定成長企業を安く買うには?

 安定成長企業とは、毎年利益が順調に出ており、今後とも同様な利益が予想される企業です。安定成長企業を安く買うためには、まず安定成長企業の収益・株価変動の特徴(法則)をつかみ、そのうえでPERを参考にしましょう。

第1法則
 安定して成長する企業の株価は長期的に上昇します。短期的には、企業業績とは別の要因(さまざまなニュース、市場心理等)により、時には上下に大きく変動します。しかし長い目で見ると、株価は、1株当たり利益に相応した価格となります。

第2法則
 株価は常に上下しますが、安定成長企業の株価は一定の範囲内で上下を繰り返す傾向が見られます。また、株価が下落しても企業利益が年々増加しているので、一定の範囲で下げ止まります。

「安定成長企業」の企業収益と株価の関係
安値のメドを算出してみよう

 以上を参考にして、安定成長企業の次期決算期(2020年3月期)における安値のメドを算出してみましょう。

 まず、「過去の株価の安値時におけるPER」を算出します。下の図C社の例では、過去3決算期(2017/3~2019/3)の株価の安い時のPERを平均した安値平均PERが10倍(2017/3:9倍、2018/3:10倍、2019/3:11倍)でした。

 次に、この「安値平均PER:10倍」を活用して次期決算期(2020年3月期)の株価の安値を試算してみましょう。2020年3月期の1株当たり利益(予想)は100円です。100円(1株当たり利益予想)×10倍(安値平均PER)で、安値は1,000円となります。

 では、D社の例を見てみましょう。D社の過去3決算期(2017/3~2019/3)の安値平均PERは20倍でした(D社は、新たな事業計画が進んで成長が期待されており、C社と1株当たり利益(予想)は同じですが、人気があるためPERが高くなっています)。D社の2020年3月期の1株当たり利益(予想)が100円とすると、2020年3月期の安値のメドは2,000円(100円×20倍)となります。

過去3年間の安値平均PERは会社四季報でチェック

 株価はいつも気まぐれです。景気が悪くなる、経済が停滞しそうな時などで、市場全体の株価が下がったときが買い時です。安定成長企業の人気度の低い時(PERが低い)の安値のメドは、「1株当たり利益(予想)×安値平均PER」です。

 会社四季報(上部チャート横の株価指標欄)には、過去3年間の安値平均PER(過去3期の最低株価と実績1株益から算出)が掲載されています。

 次回は、安定成長企業の株式を安いところで買う「安値圏(安値~底値)」について説明したいと思います。

第7回 安定成長企業を「安値圏」で買う
第5回 株式投資の失敗パターンを知ろう