中国の習近平国家主席(2019年11月27日、写真:ロイター/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 安倍政権が来年(2020年)春、中国の習近平国家主席を国賓として日本へ招待する計画を進めている。この計画が国際的に反発を買う見通しが強くなってきた。日本の対中融和政策が民主主義諸国の動きに逆行するとして非難の声が高まっているのだ。とくに米国の対中政策を阻害するとみられる危険性も高い。

国際社会で高まる中国への非難と警戒

 習近平主席の国賓としての来日計画は、12月9日の安倍晋三首相の記者会見でも問題視された。外国人記者が「中国による日本人の拘束や尖閣諸島の領海侵入が続くなかで習主席を国賓として招待することには、自民党内にも反対があるが」と安倍首相の見解を尋ねたのだ。

 安倍首相は「中国にも日本にもアジアの平和や安定に果たすべき責任があるから、その責任を習主席と話し合う」と答え、習氏の来日が、なぜ実質的な協議よりも友好や歓迎を前面に押し出す国賓扱いでなければならないのかについての説明はなかった。

 だが現在の国際社会では、日本の対中融和の動きとは逆に、中国への非難や警戒がますます高まっている。

 西欧諸国が多数加わる北大西洋条約機構(NATO)の29カ国も、12月上旬に開いた首脳会議で中国からの「挑戦」を初めて提起した。首脳会議の成果をまとめた「NATO宣言」のなかで、中国の最近の軍拡を含む影響力拡大を「挑戦」とみて、「正面から対峙」する必要性を初めて宣言したのだ。