地球の歴史の中で、最も最近に起きた「地磁気反転」の痕跡をとどめる国際標準として、千葉県の露頭が選ばれ、年代の命名が「チバニアン」となる見通しがたったことが11月29日の報道で明らかになりました。
このところ、停電や断水など、大変な災害が続いた千葉県としては、ひさしぶりにグローバルな朗報がもたらされたと言っていいかと思います。
同じ千葉県内、佐倉の治水、利水の現状確認で先日は現地を巡検しての報告をお届けしましたが、今回は、以前にも触れたこの「チバニアン」という地層を少し掘ってみたいと思います。
国際地質科学連合の3次審査を通過
千葉県市原市、養老川沿いに観察される、現在から約77万年前に堆積した地層の露頭は、「松山=ブリュンヌ逆転」と呼ばれる、現在までの地球史で最も新しい「地磁気反転」の時代を示しており、世界の標準になりうる候補に挙げられていました。
それが、地元での何らかのトラブルによって、話自体が流れかけていた経緯については、以前このコラムで触れました。
すでに報道されている通り「チバニアン」の国際審査に関しては、国内の反対者から「妨害」が仕かけられていました。
「チバニアン」の根拠と考えられるのは、千葉県市原市、養老川沿いの露頭です。この提案に反対する人物が昨年7月、当該の露頭に賃借権を設定して、科学的な調査のための立ち入りができないような「妨害」を行っていたわけです。
妨害サイドは、当該露頭の調査データは捏造であると主張し、再度、現地調査しないと科学的な決着はつかないとしたうえで、現地に入れない妨害を仕かけました。
これに対し、市原市は「科学的な調査のための立ち入りの妨害を禁止する」という、さらに上を行く条例を制定し対抗して、カウンターパンチを見舞います。
さらに、国際地質科学連合の審査では、妨害サイドの主張そのものが相手にもされませんでした。
このような経緯を経て今回、3次予選を無事に通過、順調に進めば2020年3月頃、晴れて「チバニアン」という名称が地球の歴史の上に刻みつけられる可能性が高いという報道が、今回あった。
それ以降、地元での懸命な努力によって問題状況が改善し、このたび国際地質科学連合での3次予選を通過し、順調に進めば2020年3月頃、晴れて「チバニアン」という名称が、地球の歴史の上に刻みつけられる可能性が高い、という報道。
度重なる災害に襲われてきた千葉県関係者には、何よりの朗報と思います。
さてしかし「チバニアン」とはどのような時代、どのような特徴を示すのでしょうか?
「地磁気が反転して・・・」などと言われても、ハッキリ言って多くの読者にはピンと来なくて当然でしょう。どうしてそんな時代区分が重要になるのか?
この問題を考えるには、地球の歴史を考えるうえで2つの異なる「年表」があることから始めるが有効と思います。
一つは「地球物理的な年表」です。