午前8時45分、東京都新宿区市谷本村町防衛省近辺の合羽坂下交差点において2人の自爆テロリストが25ポンドの高性能爆薬と100グラムのセシウム-137を使った放射線拡散装置(RDD)を爆破させた。

 自爆テロ発生として警察が初動捜査に着手するとともに、防衛省を狙ったテロの恐れもあるため防衛省は警戒レベルを引き上げた。

 午前9時22分、防衛省は自爆テロはRDDによる攻撃であったことを確認した。防衛省は警戒レベルを修正し、試料査定作業が開始された。

 一方、警察は、築地の国立がんセンターの研究所から100グラムのセシウム-137が紛失しているとの届け出を受けた。このため、防衛省を狙ったと思われるテロ攻撃は、放射性物質セシウム-137によるRDD攻撃であるとの判断がなされた。

 RDDテロ攻撃を受けたことを確認した日本政府は、ただちに米国政府に対して対放射性物質「被害管理」専門チーム、各種装置・資機材、放射線拡散監視作業、除染措置等に関する支援を要請した。

 これは在日米軍司令部が主催して東京で実施された「海外被害管理(Foreign Consequence Management)セミナー」における図上演習のシナリオの1つである。

米軍と日本が共同で準備してきたCBRNE事故対策

 日本では「被害管理」という語は定着していないが、「被害管理」とは「CBRNE」を使用した大量破壊兵器によるテロ攻撃ならびにCBRNE関連物質の製造・貯蔵・運搬過程における事故によって発生した「被害」の被災者・被災地にたいする緊急支援を行い、人々の健康と安全を確保し、インフラの回復にあたる支援活動を意味する。

 「CBRNE」(シーバーン)とは、化学(Chemical)・生物(Biological)・放射性物質(Radiological)・核(Nuclear)・高威力爆発物(high yield Explosive)の頭文字をとった用語である。かつては「NBC」(核・生物・化学)と呼ばれていた概念が、世界規模での対テロ戦争の進展とともに「CBRN」という概念に発展し、さらに高威力爆発物を用いた大規模テロの発生に伴って「CBRNE」と称されるようになった。