北朝鮮が飛翔体を発射したことを伝える韓国のテレビ(2019年8月10日、写真:AP/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 アメリカ軍と韓国軍による合同訓練が始まった。予定通り8月5日から事前訓練が開始され、11日から20日までは本格的訓練が行われる。以前よりも大幅に縮小されたとはいえ、北朝鮮は強く抗議する姿勢を示すため、7月25日から8月10日の間だけでも5回にわたって短距離弾道ミサイルの試射を実施した。

 金がかかりすぎるという理由でかねてより米韓合同軍事演習に難色を示してきたトランプ大統領は、あたかも在韓米軍が勝手に韓国軍との合同訓練に踏み切ったかのような姿勢を見せ、北朝鮮によるミサイル試射を問題視しない態度を示している。

 それだけではなくトランプ大統領は、金正恩委員長からの「米朝首脳会談の提案」と「ミサイル試射に関する少しのお詫び」が記された親書を評価し、米軍と韓国軍による合同訓練後のそう遠くない時期に再び米朝首脳会談を実施したいとの意向を表明した。

「同盟」と呼ばれなくなってしまった

 2018年6月のシンガポールでの米朝首脳会談後、トランプ大統領は「金のかかりすぎる無駄な軍事演習は中止すべきだ」というかねてよりの主張に沿って、毎年韓国で実施されてきた大規模軍事演習を中止させた。