「地獄絵図」京アニ火災、被害明らかに 事件動機は謎のまま

火災に見舞われた京都市にあるアニメ制作会社「京都アニメーション」の建物付近の様子(2019年7月19日撮影)。(c)Buddhika Weerasinghe / AFP 〔AFPBB News

 伏見の京都アニメーション第1スタジオで発生した放火殺人事件から10日あまり。

 その間、容疑者が直前に取った行動などは、防犯カメラの画像などから次第に明らかになってきました。

 しかし、容疑者自身は依然として意識不明の重体で、本稿を執筆時点ではいまだ逮捕状も執行されず、新たな供述も得られていません。

 報道の中には「動機の解明が焦点」などと記すものもあります。でも、そんなことはあり得ないのが最初から分かっています。

 何がどうと強弁しても、大量のガソリンを準備、一部は直接、被害者の体に振りかけたうえで着火するなどという犯罪の「動機」として、司法も国民も納得のいく説明など、できるわけがないことが、最初から明らかだからです。

 はっきり言ってどうかしている。しかも、その「どうかしている」ぶりが、尋常でなく、率直「狂気」に近い。

 しかし、その狂気に突き動かされながら、ホームセンターで凶器を購入したり、現場を入念に下見したりと、「責任能力」があることははっきり認識されます。

 いったいこれは何なのか?

 その答えを検討する前に、これまでに発生したいくつかの大量殺人事件と「京アニ事件」の際立った違いを確認したいと思います。

 先に結論を記してしまうなら「京アニ放火殺人」はむしろ「ジェノサイド」や「ホロコースト」に近い、通常の犯罪とはかなり異なる性格を持つものであることに注意すべきだと思うのです。