1 はじめに

 3月11日に発生した東北関東大震災は、多くの犠牲者や甚大な被害をもたらした。この震災で亡くなられた方には心よりご冥福をお祈りするとともに、被災者の方々には謹んでお見舞い申し上げたい。

 この震災対処に、自衛隊、消防庁、警察、東京電力の社員等、官民併せて懸命の努力がなされていることに深く敬意を表したい。今回の震災対処が困難を極めているのは、未曾有の地震と津波に加え、今まで経験したこともない原発の事故が重なってしまったことである。

 福島原発事故に対する当面の手当てとして冷却の努力がなされているが、爆発による放射能事故に発展する危険はないのか、放射能の拡散を封じ込める有効な手立てがあるのか、多くの国民ははらはらしながらニュースを見ているのではなかろうか。

 政府の発表はことさら風評被害を強調し、国民に安心を迫っているようにしか見えない。原発が爆発し放射能が拡散する事態になった時、迅速的確に対処する手立てはあるのだろうか。それを政府が示さない、あるいは示せないから国民は不安になっているのであろう。

 今まさに事故の拡大を押さえ込めるかどうか予断を許さない状況であるが、この努力が実って原発事故の危機が早く収束に向かうことを祈ってやまない。

2 常設の避難所の建設

 今回の震災対処も原発の件を除けば初動の避難、救助の段階から次の段階へと対処が移る時期である。すでに仮設住宅の建設が始まり、復興の動きが出てきているので、避難所の建設についての私見を提案したい。

 これから数十万の人々が県の内外で長期間避難生活を強いられることになるであろうし、大変ご苦労されることであろう。過去の例を考えても、短期間であればよいが長期間になると人間関係も複雑になり、各種の精神的ストレスが蝕むこととなると予想される。

 避難所も学校の校庭の仮設宿舎でいつまでももつはずはないであろう。全国各地で心温まる避難者の受け入れが表明され、避難も行われている。

 しかしながら短期間には対応できても、長期化すればいろいろ感情的なもつれも生じてくることも想像され、抜本的対策が必要となってくるであろう。

 震災などに対しての避難所として学校の体育館が使われるが、あくまで一時的な避難であり、長期間の避難生活には仮設住宅の建設で対処しているのが実態である。

 日本は災害多発地帯であり各種の災害は全国に発生することから、この際、常設の避難所を全国規模で建設してはどうだろうか。先進国日本で避難所が学校の体育館だけとは情けない。