新天皇陛下、剣璽等承継の儀で神器受け継ぐ

皇居・宮殿で皇位継承の儀式に臨まれる天皇、皇后両陛下(2019年5月1日撮影)。(c)AFP PHOTO / IMPERIAL HOUSEHOLD AGENCY〔AFPBB News

(舛添要一:国際政治学者)

 5月1日、新天皇が即位し、令和の時代が始まった。様々な儀式も無事に終了し、穏やかに新しい時代を迎えたことを喜びたい。この機会に、平成の時代を振り返り、その意義を考えてみたい。同時に、新時代の課題についても考察する。

「平成」は戦争がなかった稀な時代

 平成の時代の特色は戦争がなかったことである。明治維新以降の近代日本の歴史を振り返ると、1894~95年に日清戦争、1904~05年に日露戦争、1914~18年に第一次世界大戦と、10年毎に戦争をしている。そして、1937年から日中戦争が始まるが、1920年代後半から日本軍は中国に展開し始めている。1941年12月には真珠湾攻撃により太平洋戦争が始まる。

 つまり、1945年の敗戦までは、戦争の時代が続いて来たのである。この時代に生きた一般的な日本女性の生涯を辿ると、幼少の時には父が、成人してからは夫が、そして、その後は息子が戦地に赴き、戦死という悲劇にも遭遇したのである。

 戦争に負け、広大な領土を失ったが、戦後の74年間、日本は戦争の惨禍を被ることがなかった。明治、大正、昭和と戦争の時代の後に、平成は戦争のない平和な時代となったのである。

 30年間というと、実は短いようだが、長くもある。1914~1945年の30年間に、世界大戦が2回もあったのである。ヒトラーが政権をとったのが1933年、戦争に負けて自殺するのが1945年、わずか12年間である。過去の歴史を物差しとして比較すると、今の時代の意味がよく分かる。