1. 労多く実りが少ない原油供給側要因の分析
「とても困難な交渉だったが、合意に達することができた。我々が市場のどんな変化にも対応できることを示す強いメッセージとなる」
12月7日、ロシアのノバク・エネルギー相は記者会見し、難航したOPEC(石油輸出国機構)との原油協調減産が合意に達したと胸を張った。
今年は油価が急騰・急落し、例年にも増して原油市場が注目を集めた年であった。
筆者は商品価格予測も含め未来予測は不可能だと思っているが、PDCAサイクルを回しながら商品価格予測を行うこと自体は市場を理解するうえで有益だと考えている。
しかし連日原油価格予測について専門家の様々な見解が報じられるなか、筆者には「油価の予測にあたって、あまりにも供給側要因に分析が偏りすぎていないか」という違和感がある。
商品市況専門家が供給側要因を深く掘り下げること自体は否定しない。
しかし昨今の米国の対イラン制裁を見れば分かるように、供給側要因はあまりにも複雑で透明性も低い。
政治が絡むことも多く、合理的とも言い難い。少なくともPDCAサイクルが回せるような環境ではない。
厳しい言い方をすれば、「供給側要因の分析は労多くして実りが少ない」と言わざるを得ないのではないか。