営業の現場で行われる、商談の受注までの管理、俗に言う「案件管理」は、ゴルフの「コースマネジメント」によく似ている。初回コンタクトから受注に至るまでの商談の道のりと、ティーショットの準備からホールアウトするまでの過程は共通点が多い。
ご存じのとおり、ゴルフというスポーツは難しい。その難しさは、一度うまくいったからといってそれが再現されるか分からない点や、同じシチュエーションが二度とない、という点が大きい。
そういう難しさがあるがゆえ、状況に応じた引き出しをたくさん持っていなければならない。想定外の事態に陥った場合でも、あわてず冷静に対処するメンタル面の強さも求められる。
「コースマネジメント」とは、各ホールで最終的な「ホールアウト」というゴールを基点にして、どういうショットを打っていくかを事前に組み立てていくことである。その際は、ホール自体の物理的な形状や特徴を前提とし、予測困難な面も考慮する。
だが、必ずしも当初の作戦通りにはならないから、ホールアウトまでには微妙な軌道修正をしていくことになる。
商談もゴールを基点に考える
商談はある程度の決まった手順があるものの、最終的な意思決定(クローズ)にこぎつけるまでに様々なことが起き、手順通りには進まないものである。
だからといって、行き当たりばったりでよいというわけではない。いつ、どういう内容の受注をするか、そのためにはどのタイミングで何をするかなどを、手前からではなく「後ろから」逆算して考えるものである。
当然、商談の過程では思わぬ横やりが入ったり、景気変動や競合動向などの不測事象が数多く起きる。そういう時に当初の計画をいかにうまく軌道修正できるかが非常に重要となる。
このようにゴールを基点に考え、かつ各プロセスで起こったことに柔軟に対応しつつ、最終的に何とかゴールにたどり着くのである。これは、まさにコースマネジメントと等しい。「うまさ」が求められる点も、よく似たものがある。