インドネシアの製紙会社APPが森林保護活動の一環としてスマトラ島で植樹を行った

「世界一の親日国家」とも言われるインドネシア。2018年は日本・インドネシア国交樹立60周年に当たり、1年を通して両国で記念イベントやセレモニーが行われている。インドネシアはASEANの中で安定した経済成長を誇り、日本にとっての市場的価値もますます高まっている。だが、その一方で特殊な自然環境、産業構造ゆえの課題を抱えていることも事実だ。インドネシア経済の現況と課題、そして、その課題をどう乗り越えようとしているのかを報告する。

堅調な経済成長を維持

 まずインドネシア経済の概況から見ていこう。

 インドネシアは約1万4000以上もの島々から成り、約2億6200万人の人口を擁する世界最大の群島国家である。

 1997年のアジア通貨危機の際に政府が銀行部門と企業部門を中心に経済構造改革を行った結果、インドネシアは社会情勢が安定し、個人消費が順調に拡大した。2000年以降、主要新興国の中で、唯一経済成長率が一度もマイナスになっておらず、堅調な経済成長を遂げている。2005年以降、経済成長率はほぼ毎年5%後半から6%台を維持し、2017年にGDPはついに1兆ドル(世界16位)を超えた。

 日本は輸出先としては第3位、輸入先としては第2位の主要貿易相手国であり、最大の経済協力国の1つという良好な関係を築いている。日本からは、鉄道をはじめとするインフラやLNG(液化天然ガス)、火力発電プラントなどの支援が拡大している。

 ASEANで最大規模のGDPを誇るインドネシアの魅力は、世界第4位の人口と平均年齢の若さである。平均年齢は29歳、生産年齢人口が5割を超え、経済成長を促す「人口ボーナス期」が2030年まで持続する見通しだ。2015年末にはASEAN加盟10カ国が、加盟国の主権を優先しながら関税を撤廃し、サービスや投資を自由化する「ASEAN経済共同体」が発足し、インドネシア経済へのプラス効果が期待されている。