だが、取り締まりが強化されても、汚染物質を川に垂れ流す不法処理は後を絶たない。産業廃棄物の違法処理も相変わらず続いている。最大の原因は、廃棄物処理場の整備が追いつかないためだ。
最近の住民は「川の色」や「大気の臭い」に敏感だ。「ゴミ処理場から出た煙でガンになる」と信じる人も少なくない。蘇州市呉江区では新しい焼却炉が完成したものの、地元住民による激しい反対運動で操業を一時停止させられた。
処理場が不足する蘇州市内では「まともな企業でさえも不法投棄を始めるようになった」と杉田さんは漏らす。「中国資本の中小工場の中には、産業廃棄物を川に投げ捨てているところもあります」。
杉田さんもゴミ問題には手を焼いている。「うちの工場でも産業廃棄物が出ます。その場合は、ゴミ処理場のトラックを呼んで、山盛り一杯3~4000元(約5~6.5万円)で引き取ってもらったり、ロープと鉄条網に囲まれたゴミ捨て場で、門番に金を渡して捨てています」。
なお、産業廃棄物を回収した業者が合法的な存在なのか、また、ゴミが合法的に処分されているのかについては明らかではない。