米グーグルがスマートフォンなどモバイル端末向けアプリの事業を強化するため、社内で開発体制を構築する計画だと米ウォールストリート・ジャーナルが報じている。

 ソフトウエア技術者、製品マネジャー、ユーザーインターフェースの専門家など数十人を新規に雇い入れるほか、グーグルの従業員もこの部門に異動させる。世界各地の同社事務所で展開する全社的な取り組みになると記事は伝えている。

モバイルアプリ市場、昨年の3倍に

アップルが過去最高業績、7~9月期売上203億ドル

急成長するモバイルアプリ市場はアップルの牙城〔AFPBB News

 市場調査会社の米ガートナーによると、今年のモバイル端末向けアプリの市場は昨年の3倍の151億ドル規模まで拡大する見通し。しかしこの市場で先行するのはグーグルではなく米アップルだ。

 アップルのスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」やタブレット端末「アイパッド(iPad)」などにダウンロードできるアプリの数は現在35万本以上ある。これに対しグーグルのモバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」向けアプリは10万本とその3分の1以下にとどまっている。

 そこでグーグルは品質の高いアプリを多く開発し、アップルの牙城に挑むというわけだ。人気のあるアプリを多く提供できれば、OSと端末への需要が高まる。端末の利用者が増えれば検索、ネットサービスの利用も増え、同社には広告収入がもたらされる。

 ただ、アップルの牙城を崩すのはそうたやすいことではないと言われている。グーグルは社内で自前のアプリを開発する計画だが、アプリの市場を支えているのはサードパーティーと呼ばれる外部の開発者で、両社のサービスで販売されているアプリの大半はそうした個人、企業が作っているからだ。サードパーティーが、製品を取り巻く生態系の重要な要素になっていると言ってよいだろう。

ヒットが難しい昨今の状況

 今回のグーグルの施策は、優秀な小規模グループを集めてそこに資金を投入し、良質なアプリの開発を促進するというものだとウォールストリート・ジャーナルの記事は伝えている。既にアイデアを持った人を雇い入れ、迅速に成果を出すのが狙い。これは今年4月に最高経営責任者(CEO)に就任する創業者のラリー・ペイジ氏の意向に沿ったものという。