初のベスト4を目指し増すチームの輝き

主将としてチームを引っ張り続ける矢吹(筆者撮影)

 主将として使命を背負い、弱みを見せない。その重責と苦悶をチームメートは理解している。

 この夏、県大会で選手たちは躍動した。春に絶不調だった五味が打率5割と復活し、主砲の須田も2本塁打と存在感を見せつけた。投手を除くレギュラー全員が打率3割超えと、聖光学院は前評判通りの力を示した。

 矢吹が苦しみ抜いた分だけ、チームメートは「俺たちに任せろ!」と言わんばかりに輝きを放ったのかもしれない。

「あ! それはあると思います」

 目を丸くしながら同調してくれたのは、須田とともに副主将を担い、チームメートも認める努力家の横堀航平だった。

「僕が副キャプテンだったのは田野がキャプテンのときがメインでしたけど、矢吹の姿も見てきたんで『大変だな』って思っていました。だからってわけじゃないですけど、『自分にできることをしっかりやろう』って。みんなもそう思っているんじゃないですか」

 チームの輝きは、甲子園に来てからより強さを増しつつある。斎藤監督はこう断言する。

「自分たちがやるべきことができている。出すべき空気を作れている」

 矢吹の目にも光が宿る。

「甲子園で輝きたいっす!」

 2008年の主将、黒羽は甲子園で本塁打を放つなど復活を遂げ、聖光学院を史上初となるベスト8へと導いた。

 10年のときを経て、今年の主将、矢吹が甲子園で爆発を約束する。初のベスト4、その先への扉は、開かれつつある。