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「日銀が升酒持ってきた」 追加緩和受け株価上昇

都内の日本銀行(Bank of Japan)本店で記者会見する日銀の黒田東彦(Haruhiko Kuroda)総裁(2014年10月31日撮影)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO〔AFPBB News

(文:鷲尾香一)

 7月20日の『時事通信』による「日本銀行が大規模な金融緩和策で『0%程度』としている長期金利の誘導目標の柔軟化を検討」「一定程度の金利上昇を容認する」「金融機関の収益悪化や国債取引の低迷など副作用を軽減しつつ、緩和長期化に備えるのが狙い」との報道を皮切りに、その後も各社による日銀の金融緩和策見直し検討報道が相次ぎ、市場が大きく揺れた。

 各社の報道を総括すると、「日銀は7月30~31日の金融政策決定会合で、長期間続いている金融緩和の副作用への対応策を検討する。特に、低金利で収益悪化が続く金融機関への“累積的”影響や国債市場の機能低下、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れによる個別株の価格形成への過度な影響などへの緩和策を検討する。緩和策としては、長期金利の誘導目標やETFの買い入れ手法の柔軟化が選択肢になる」といったところだ。

 これらの報道を受け、週明けの23日には10年物国債利回りが急上昇(価格は下落)し、0.09%を付けた。同利回りは26日には2017年7月以来、約1年ぶりに0.1%に上昇した。23日の日経平均株価は300円を超える下げとなったが、そうした状況の中でも収益改善が見込めるとして銀行株は大きく上昇した。日米の金利差縮小から為替相場は、円高・ドル安に動いた。

 さてこれらの報道では、日銀が金融緩和政策を修正するのには、いくつかの要因が挙げられている。そこで報道内容を因数分解し、その根底にある日銀の姿勢を解き明かしてみたい。

「ステルス・テーパリング」に向けて

 まず、要因として「国債市場の機能低下」が挙げられている。確かに、日銀が量的緩和のために、市場のほとんどの国債を買い入れ、さらに国債利回り(長期金利)が上昇しないように“ペギング(釘付け)”にしているのだから、市場としてはほとんど機能していない。

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