「1月24日(月)のドモジェドヴォ空港爆弾事件は肝を冷やしました。我々がよく通る場所で、この日もJAL便の到着客が遭遇してもおかしくない時間でした。チェチェン問題があるうちはテロはなくならないでしょう」
「そして、チェチェン問題が解決することは当分ないでしょうから、ロシアは常にテロの危険にさらされているということです。憎しみの連鎖は途切れることがありません」
あと15分、日本からの到着が遅れていたらテロの被害に
上記はロシアNIS貿易会(RONIS)モスクワ事務所の池田正弘所長が同会の月報モスクワビジネスニュースに書かれた今回のテロの感想です。
実際、あと15分もJALのモスクワ到着が遅延していたり、あるいは受託手荷物の返却が遅れたりしていたら、間違いなくJALで到着された乗客の中から、被害者が出ていたはずです。
ロシア在住の日本人、そしてロシア人一般の気持ちを極めてよく表していると思うので、池田さんの文章をそのまま引用させていただきました。
ある日本企業のモスクワ支店長は、ロシア出張延期を打診してきた出張者に対して、「来るなら早い方がいい、なぜなら社会全体にまだ緊張感があるから」と答えたそうです。
それくらい、ロシアにおけるテロ行為は日常茶飯事となっていて、これを防止することは不可能であることを大衆は本能的に知っています。
警備当局にしても、事件後の一定期間は空港や地下鉄、鉄道駅の入り口検査を強化しますが、そのうちに元のルーズな状態に戻ってしまいます。だから、また、必ず起こる。
その結果として、ロシアにおけるテロ行為は、民衆にとって避けられないもの、という人災の自然災害化が見られます。まるで、日本人が地震に対して感じる無力感のようです。
日本に住み始めたロシア人が、こんなことを言っていました。