中国ではここ数年、女性消費市場が熱い。
消費などにおける女性主導の経済を意味する「她経済」(她=彼女)という新語が2007年に出現し、女性消費が注目され始めて早11年。最近では、家庭での消費能力が高い順に、「女性→子ども→お年寄り→犬・猫→男性」などといったデータが出ているほどだ。
中国大手証券会社である国泰君安証券によると、中国の女性消費市場は2014年の2兆5000億元(約42兆5000億円、1元17円で計算)から、2019年には1.8倍の4兆5000億元(約76兆5000億円)に達するとみられている。
夫と同等以上に稼ぐ女性が5割超
中国の女性消費市場の驚異的な伸びの背景には、中国女性の経済的な地位や社会的地位の上昇のほか、家庭でも主導権を握る女性が増えていることがある。
まず、夫と同等に稼ぐ女性が増えていることが大きいとみられる。
ホワイトカラーや起業家の女性向けにコンサルティングサービスを提供する睿問信息科技などが発表した「中国女性消費調査リポート(2017年8月)」によると、調査対象となった既婚女性のうち38%が「自分の収入は夫と同水準」と回答した。
また14.4%が「夫より稼ぎが良い」と答えており、女性の5割以上が夫と同等、もしくはそれ以上稼いでいることが分かっている。
ちなみに、少し古くなるが、国際比較調査グループであるISSPが2012年に発表した調査によると、「自分と同居している配偶者とのいずれの所得の方が多いか」という質問に対し、調査対象となった41カ国のうち、日本は「夫の所得の方が多い」の割合が88.3%と最も高かった。一方、中国は61.5%で31位。