安倍内閣の支持率が低迷しているにもかかわらず、野党の支持率が上がる気配は見られない。野党への期待値はゼロに等しいということだ。
この間、野党は森友学園問題での財務省による決裁文書改ざんやゴミ処理費用のでっち上げ工作、加計学園問題での柳瀬唯夫元首相秘書官(経産省審議官)と加計学園関係者との接触の事実、財務省事務次官のセクハラ問題、自衛隊の日報問題などで安倍政権を激しく追及してきた。
連休前には、(1)セクハラ問題や決裁文書改ざんを踏まえた麻生財務相の辞任、(2)柳瀬氏の証人喚問、(3)財務省の改ざん問題の調査結果の早期公表、(4)自衛隊日報問題の究明などを理由に審議拒否を続けてきた。
この結果、安倍内閣の支持率は大きく低下し、安倍首相の自民党総裁選3選にも黄信号が灯り始めたという報道もあるほどだ。野党の追及が安倍内閣の支持率低下、総裁3選にも影響を与えてきたことは事実である。だが、これらのスキャンダル追及が野党の支持率上昇には、まったく貢献していないこともまた事実である。
スキャンダル追及は政治の本道ではない
昔から、スキャンダル追及は支持率の上昇にはつながらないのだ。
1976年2月に、戦後最大と言ってよいロッキード疑獄事件が発覚した。アメリカの航空機メーカーであるロッキード社が、日本への航空機売り込みにからんで、首相だった田中角栄に巨額の賄賂を贈ったとされる事件である。国会では、大手商社の丸紅や全日空の関係者、田中角栄と「刎頸(ふんけい)の交わり」(互いのために首を刎(は)ねられても悔いはないとする程の関係)と述べた小佐野賢治、右翼の大物児玉誉士夫などが証人喚問された。