パーミアン盆地にあるリグ(出所:Wikipedia、資料写真)

 米国金利上昇懸念に端を発した世界的な株安の影響を受け、バブル気味だった米WTI原油先物価格は2月9日に今年初めて1バレル=60ドル割れし、その後も59~60ドル台で推移している。

 しかしファンダメンタルズを見てみると、昨年(2017)半ば以降原油価格を押し上げてきたOPEC諸国による減産は相変わらず高い遵守率を誇っている(1月の遵守率は137%)。

 生産量を減らしても単価の上昇で原油収入は増え、身を切るような減産が割に合う状態となり、懸念された足並みの乱れを抑えているからだ(2月8日付日本経済新聞)。国際エネルギー機関(IEA)は1月、「OPECの昨年の原油生産量は前年に比べて減少したが、1日当たりの収入は3億6200万ドル増加した」と指摘した。加盟国で最大の減産を続けているサウジアラビアも9800万ドルの増収となった。

 OPECとともに協調減産を実施しているロシアは、1月の原油生産量は前年比1.5%減の日量1095万バレルだった。ロシア・サウジアラビア両政府は協調減産を来年以降も続けていく可能性を示唆している。

世界の原油市場は概ね堅調だが・・・

 ベネズエラの苦境も他のOPEC諸国にとって恩恵である。

 2月12日にOPECが発表した1月の原油生産量は前月比1%減の日量3223万バレルだった。イラク(日量3万バレル増の444万バレル)やサウジアラビア(同2万バレル増の998万バレル)などが若干増産したものの、混乱するベネズエラの減産(同5万バレル減の160万バレル)が増産分を打ち消すという構図が続いている。ベネズエラの昨年はじめの原油生産量は日量218万バレルだったが、今年は70万バレル減少して143万バレルまで減少する可能性がある(2月8日付OILPRICE)。