中国に渡ってからの15年間、留学から起業に至るまでの道のりを振り返っている。
【前回の記事】「確かにそうだ!中国人妻がついに発見した経営の奥義」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51016)
中国で会社を立ち上げ、シルバーアクセサリーの取引に目を付けたが、展示会にも足を運び、妻の友人を頼ってみたものの、芳しい成果は得られなかった。その中で、自分たちには気合いや必死さが足りないことに気づき、ようやく本気モードのスイッチが入り、次は「クレープ」に目をつけたのだった。
クレープ屋という狙い
次はクレープ。当時はそれなりにいろいろ考えた末に出した結論だった。
中国の人は肉まんに野菜まん、「饼」(bing:小麦粉や雑穀の粉をこねて焼いた平たく大きな食べ物)など、いわゆる粉モノが大好きだ。なので、当時はまだ珍しかった美味しいクレープを作ったら、たくさんの人が食べてくれるのではないか。
そんな風に考えて、妻と私は、当時上海ではまだ珍しかった、とあるデパートにあったクレープ屋さんに視察に出かけた。
当時、上海は百貨店全盛期。店内は人で溢れかえっていたが、そのクレープ屋だけは驚くほど流行っていなかった。他の地下食品街のお店は人が並んでいたにも関わらず、クレープ屋だけは、クレープを焼くためのあの丸い鉄板がとても美しく磨き上がってピカピカだったのを、今でも鮮明に覚えている。