フランスの年末年始にもやはり、各家庭のテーブルに上る定番メニューというのがいくつかある。フォアグラ、牡蠣、スモークサーモン・・・。クリスマスデザートならやはり、ブッシュ・ド・ノエル。そして、ショコラ(チョコレート)。

巨匠がひしめくパリのショコラ界

 日本なら、チョコレート屋さんの書き入れ時と言えばバレンタインデーだが、フランスでは、年末年始の需要が最も多い。スーバーやデパートの食品売り場には、特設のショコラコーナーができ、専門店、つまり高級ショコラの店では、レジに行列ができる。

 東京をはじめ、日本の各都市でも恒例になった「サロン・ド・ショコラ」の影響もあって、フランスの高級ショコラの知名度はここ数年でかなり上昇し、一種のブランドと化した。それはフランス国内でもしかり。

 特にパリでは、老舗の名店に加えて、スターパティシエの店、M.O.F(フランス最優秀職人)の店など、群雄割拠とも言える状況が繰り広げられてきた。

 新顔の登場、巨匠らの支店が続々と増え続ける状況から、この業界もそろそろ飽和状態に達しつつあるのではないか、と思っていた。

 しかし、どうやらその読みは甘く、つまりショコラはまだまだ市場の開拓が望める分野らしく、ここにきてまた、新しい店のオープンが相次いでいるのである。

オデオンの交差点からも近い、石畳の小道にある

 中でも、11月末に開店した「un dimanche à Paris(アン・ディモンシュ・ア・パリ)」は、従来のショコラティエとは一線を画す方向性を打ち出してきた。

 パリには、約10のグラン・ショコラティエ、つまりこの世界でのビッグブランドが存在するが、サンジェルマンからオデオンにかけては、特に激戦区といえる地域。

 「パトリック・ロジェ」「ピエール・エルメ」「ラデュレ」「ピエール・マルコリーニ」「ドゥボーヴ・エ・ギャレ」といった店が、徒歩5分圏内にひしめいている。

 「un dimanche à Paris」が出店したのもまたこの界隈。サンジェルマン大通りから枝分かれする小道、それもいかにも由緒を感じさせる石畳のパッサージュの真ん中に位置している。