2017年4月から「ネガワット取引」が本格開始されました。
ネガワット取引は、電力の需給逼迫時などに、電力会社からの通知に応じて節電を行った需要家が報酬を得られるものです。発電ではなく節電というのが大きなポイントです。需要家を集めて節電量を束ねる「ネガワットアグリゲーター」と呼ばれる事業者が、電力系統運用者と契約することで成立します(各需要家はネガワットアグリゲーターと契約します)。
*ネガワット取引のスキームには、小売電気事業者がインバランス(需要と供給の差)を防ぐために利用するものと、電力系統運用者が調整力として活用するものがありますが、ここでは現在主流の後者のみご紹介します。
ネガワット取引の動向
ネガワット取引の背景には、電気の「需要量と供給量を常に一致させなければならない」という特性があります。これまでは、電力会社がピーク需要などに対応できる発電能力を確保してきましたが、この発電所の建設・維持コストを削減するため、ネガワットはピーク時間等における節電によって需要と供給のバランスをとります。
ネガワット取引は、米国、英国、フランス、韓国などでは既に実施されており、米国ではピーク電力需要に対するネガワットの比率が10%に達する地域もあります。
我が国においては、今年度、東京電力パワーグリッド、中部電力、関西電力、九州電力の4社の電力系統運用者において、合計36億円の取引がありました。