もうすぐ21世紀2度目の10年が始まる。その10年間が終わる2020年のロシアの国のカタチを考えてみたいと思う。

 そのうえで、コーカサスは中心命題にはほど遠いとしても、いまだ特別の関心を持つべき地域・問題の1つであリ続けるだろう。

国際関係と国のグランドデザイン

ロシア、グルジアから独立宣言したアブハジアに対空ミサイル配備

グルジアから分離独立したアブハジアにロシアは対空ミサイルを設置した。写真は軍事演習〔AFPBB News

 この問題に大きな影響を与えるロシアとグルジアの関係について、2010年後半の動きを見ていきたいが、その前に国際関係と国の「グランドデザイン」の重要性について若干触れたい。

 めまぐるしく移り変わる国際関係の中で、2008年夏のグルジア紛争など、ずいぶんと昔のことのように思える。

 内政も外交もままならない米バラク・オバマ政権は、基本的にはロシアとの間に波風を起こしたくない。

 ロシアにしても現実的には、欧州とアジアにまたがる(双方での)「ミドルパワー」として、地に足をつけた国力増強が望ましいし、グレートパワーはずいぶんと遠い昔のことになった。

 その意味で、ドミトリー・メドベージェフ大統領の北方領土訪問は、時の政治的なジェスチャー以上に、国土の確定など戦後処理にもまつわる懸案を、ソ連崩壊後20年を経て、ついに真剣にロシアが考え始めたととらえられなくもない。

 北方領土へのてこ入れは、ある意味、ロシアのアジア部分への関心の発露であり、アジア・太平洋国家としてのロシアの「顔の整備」の一環である。

 その意味で、この1つの政治的なメッセージに「領土問題」としてすら全く対応できなかった日本国は、大きな時代の流れを見ることができずに、自らの外交力の欠如を露呈したという意味でも、2010年は後世に記憶される年になるかもしれない。