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不足する労働力の補完役として期待されるRPA

 RPAとはRobotic Process Automationの略。

 IT技術が進化し、人間を介した業務がコンピューターや産業用ロボット等で代行されるようになってからも、これだけは人間にしかできないという高度な業務、あるいはシステム開発の費用対効果で人間がやるしかないと考えられていた煩雑な作業を、ルールエンジンやAI、機械学習等の認知技術を駆使して業務を自動化、代行する仕組みのことである。

 主としてホワイトカラーの業務を代行するのに適しているとされており、間接部門のルーティンワークも代行可能となる。人間を補完して、代わりに業務を代行することから、「仮想知的労働者(Digital Labor)」とも呼ばれている。2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者、あるいはもしくは1/3の仕事がRPAに置き換わると予測されている。

 少子高齢化が進む日本では、女性、高齢者、障がい者、外国人労働者などの活用で、労働力不足を補う施策を進めているが、それだけでは足りない労働力を補完するものとして、RPAが注目されているのだ。

RPAが実際に稼働する現場とは

 RPAが得意とするのは、ある程度の作業手順が決まっている「定型作業」だ。柔軟性と適応力が高く、状況に応じカスタマイズが可能である。実際には、BPOロボットとしてバックオフィスタスクやカスタマーサポート、情報収集調査ロボットとして市場調査、EC業務代行ロボットとして商品登録や受注、その他マーケティング、情報システムなどでも活用されている。

 RPAの強みとしては、(人と違い)辞めない、休みなく働き続ける、変化に強く同じ間違いを繰り返さないという3つがある。事務処理の多い金融業界との相性がいいといえる。

 RPAテクノロジーズ株式会社が提供するRPAソリューション「BizRobo!」は国内で保険、銀行など金融業界、流通、通信、メーカーなどの業界100社で4,000体以上のRPAロボットが稼働しているという。同社のオフィシャルHPにはそうした導入企業の事例を紹介している。

・三菱東京UFJ銀行
 PCを用いて一定の時間ごとにデータをチェック、エクセルにコピーするというような、担当者が負担に感じる煩雑な作業が多くあった。これらの作業を、RPAにより一定の時間間隔で自動化した。

 20種類のRPAを導入して、8,000時間(1日8時間で約1,000人日)の事務処理作業が削減されたという。これにより、事務作業担当者が、より重要な業務を担当できるようになった。

 一定のルールがある作業であればRPAに代行させられるという理解が進み、複数のシステムを使用し人間が行っていた事務作業を、RPAでシステム連携させて単純化することも考えられるようになった。

・オリックスグループ
 およそ800人の担当者が、グループ12社から多様な事務処理を請け負っているビジネスセンターでRPAを導入した。仕事量が一定しないという状況に対応できる、IT知識のない担当者でも扱える複雑でないシステムの導入は避けたいという要望が事前にあった。

 そこで、RPAに任せる作業の手順を登録すれば、IT知識がなくても1週間で開発できるロボットを導入し、シンプルな処理業務は「RPA」、即時の判断が必要な事務処理は「人間」と役割分担して効率化した。あるケースでは4人で行っていた業務をロボット1台が代行し、人件費やコストが大幅に削減できたそうだ。

・ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング
 商品に興味を持ってブランドサイトに訪問した消費者を、自社運営の比較ポータルサイトを経由して販売パートナーのECサイトに誘導する仕組みを持っていたが、多言語に対応でき、ECサイトの増減に対応して、追加や変更に対応できること、また予算内での運用などが求められた。

 人力で行うと、タスク項目3,000以上と膨大で、3人が24時間働いても7日はかかる作業を、RPAなら半日で完了。自社製品の販売価格を比べられる比較ポータルサイトを新設して、そこからリアルタイムでECサイトへ誘導できるようになり、販売パートナーの売り上げ向上に貢献している。また、自社製品の販売動向を把握することで、効果的な販売戦略を立てられるようになった。