6月29日、NHKが「青森県のがん検診で多数の見落としがある」というニュースを報じました。青森県が、県内でがん検診を受けた人を対象に調査したところ、胃がんと大腸がんについて検診で患者の4割が見落とされていた可能性があることを示す分析結果がまとまったというのです。内部告発にも近いインパクトのある報道でした。
これに対して、全国のがん検診を統括する国立がんセンターは声明を出し、以下のような見解を発表しました(「情報提供:青森県のがん検診での見落としに関する報道について」)。
・青森県内の一部の自治体のみのデータであり、より多くの範囲で調べないと数値は信頼できない。
・照合のための観察期間が2年間と短く不十分である。
・小さい早期ガンは見落としに含めるべきではない。
国立がんセンターは、“報道された数値はごく予備的な数値に基づいて算出されているので、慎重に解釈し、適切な判断を行う必要がある“としています。つまり、「報道ほどの見落としはないのではないか?」と言いたげな内容です。
がんの見落としの正確な割合を計測するのは非常に困難です。報道の内容については、確かに“慎重に解釈”することが求められるでしょう。
一方で、「見落とし」は起こり得るのだということも心しておかなければなりません。医療界は、見落としを防ぐためにありとあらゆる努力を行う必要があります。