「1984年に失効した旅券」で国籍離脱できるのか
さらに奇妙なのは、記者会見で初めて公表された彼女のパスポートである。これは1984年7月15日に失効したことになっているが、台湾政府の国籍喪失には有効なパスポートが必要だ。
台湾内政部が国籍喪失を許可したことは事実なので、これは蓮舫側が(2016年現在で)有効なパスポートを出したということになるが、彼らが出したパスポートは33年前に失効している。
これは2つの解釈が可能である:1つは台湾政府が超法規的に失効したパスポートで国籍喪失を認めたということ、もう1つは蓮舫側が有効なパスポートを提出したということだ。どっちにしても台湾の国籍法に違反するが、前者は台湾政府の裁量で可能だ。
深刻なのは、後者の場合である。つまり蓮舫氏は(彼女が自分で言ったように)台湾パスポートで台湾に自由に入国しており、その渡航記録も残っているということになる。この記録が明らかになると、彼女の国籍法違反は故意であり、今までの発言はすべて嘘だったことになる。
以上の事実は法務省の出入国記録に残っており、首相官邸も知っていると思われる。付随的なことだが、旅券の申請書にも「他国の国籍を有しているか」という質問に答える欄があり、この虚偽記載は旅券法違反である。これも法務省は知っているはずだ。
民進党関係者によると、これは「台湾政府の特別の配慮」だという。台湾の利益代表が野党第一党の党首になることには大きなメリットがあり、彼女に「貸し」をつくれば、今後の日本と台湾の関係にも影響を及ぼせる可能性がある。
逆にいうと、民進党は台湾に大きな「借り」をつくってしまった。この状態で蓮舫代表が日中関係にどんな発言をしても、誰も取り合わないだろう。彼女は党内でも「死に体」であり、辞任は時間の問題だろう。
民進党の代表がどうなろうと国政にはほとんど影響がないが、日本に二大政党が根づかないことは深刻な問題である。せめて民進党の中から自浄作用を示し、日本の政治が変われることを見せてほしい。