ただ、今日は皇統の維持が非常に困難な時代である。そこで、GHQが一方的に皇籍を剥奪した旧宮家に対し、皇籍復帰を願う意見も出ている。
そのためには、旧皇族の存在をより身近なものとして国民が感じる環境醸成が大切であろう。その有力な一助は、内親王の結婚相手に見定められることではなかろうか。
皇室・皇族にとって、皇統の持続は至上命題であろう。そこで、国民は皇統の維持について皇族方がまずは熟慮されることを、声なき声として求めている。国民が皇室を愛し、弥栄を願う故であり、決して僭越でも不遜でも不自然でもないであろう。
旧宮家の皇族復帰が決まっているわけではないが、それを現実化するためにも、未婚の内親王方が旧皇族から伴侶を見つけて、皇籍復帰への助走に勢いをつけてほしいと筆者は願っている。
おわりに
女性宮家という、かつてなかった人為的な制度の創設よりも、旧宮家の皇籍復帰は自然であり、国民の祝福も受けやすいのではないだろうか。
明治以前には4つの世襲親王家が存在し、皇位継承の対象者が数多く存在した。しかし、現在は皇位継承者が数人でしかない(『正論』2017年3月号、p222)。この杞憂を払拭する最良策が旧宮家の皇族復帰であろう。
譲位の特例法案では女性宮家の創設を検討事項に上げているが、創設される場合は公務の一部を分担される範囲に限定し、歴史に鑑みて皇位とは無関係であることを明確にしておく必要があろう。