JBpressが邦訳して紹介している英エコノミスト誌の日本特集は、人口問題に焦点を合わせている。

 ここで指摘されていることは、かねて日本でも言われてきたが、「少子化対策」と称して子ども手当で「産めよ増やせよ」を奨励したり、後期高齢者の医療費を増やしたりする場当たり的な政策が続けられてきた。

 エコノミスト誌も指摘するように、こういう政策は誤りである。

高度成長は「奇蹟」だったのか

 高齢化そのものを止めることは困難だが、その悪影響を減らすことはできる。そのために必要なのは、まず戦後日本の高度成長を支えたのが人口ボーナスだったという事実を認識し、その上で、現在は逆に歴史上にも例のない速度で進んでいる高齢化への対策を立てることだ。

 年率10%近い経済成長率が20年近く続いた高度成長は「日本の奇蹟」として知られているが、最近ではそれが本当に「奇蹟」だったのかどうかを疑問視する研究も多い。

 戦争で日本の資本ストックは壊滅的な打撃を受けたので、1人あたりGDP(国内総生産)は半減した。これが1970年までに先進国の平均程度に追いついたが、図1のようにこれは戦前からのトレンドを延長したものに近い。

図1 1870~2003年の日・英・米の1人あたりGDPの推移(縦軸は対数目盛)
(出所:世界銀行など)