これまで音楽配信サイトで扱われなかった「ザ・ビートルズ」の楽曲がようやく販売されることになった。
米アップルは11月17日、同社の「アイチューンズ・ストア(iTunes store)」でグループのオリジナルアルバムやボックスセットなどのダウンロード販売を開始、1曲1.29ドルのバラ売りも始めた。
ジョブズCEOにとって「長くて曲がりくねった道」
アップルが商標権を巡る問題で、ビートルズのレコード会社、英アップル・コープスと和解してからほぼ4年。
その後もネット配信に向けた動きはあったが、取引条件やデジタル音楽に対する価値観の相違などがあり、話は思うように進まなかったと米ニューヨーク・タイムズは伝えている。
アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)にとっては「長くて曲がりくねった道」(同氏)。またビートルズの元メンバーもなかなか進まぬ交渉にもどかしさを感じていたと記事は伝えている。
同日のアップルの発表文の中でリンゴ・スター氏が「いつになったらアイチューンズでビートルズを聴くことができるのかと聞かれなくなることが特に嬉しい」と述べていたが、この言葉がこれまでの紆余曲折を象徴していると言えるだろう。
2人の新CEOの功績
アイチューンズ・ストアでの販売が実現したのは、英アップル・コープスと、ビートルズ楽曲の版権を持つ英EMI、そして米アップルの3社の合意が成立したことが直接の理由だ。
しかし、その背景には経営難に苦しむEMIを改革しようと努力したロジャー・ファクソンCEOと、アップル・コープスのデジタル改革を進めてきたジェフ・ジョーンズCEOの功績がある。