マーケティング活動のアカウンタビリティをどう実現するのか。ダイレクトレスポンス広告を用いるA社の事例を紹介する(写真はイメージ)

 日本大百科全書によると、学際的研究とは「1つの目的と関心のもとに、多くの隣接する学問領域が協業して研究するもの」である。たとえば、管理会計分野とマーケティング分野との学際的研究がある。わが国において、この研究は1940年代以降から行われている。

 海外に目を転じると、ロビン・ロスレンダーとリチャード・ウィルソンが、2012年に管理会計分野とマーケティング分野との学際的研究分野において将来重要性が高まるであろう論点を紹介している。その1つが、「マーケティングアカウンタビリティ」(marketing accountability)、つまり各マーケティング活動におけるアカウンタビリティである。

 管理会計分野とマーケティング分野との学際的研究において、「アカウンタビリティ」は比較的新しい論点である。

 そもそもアカウンタビリティという概念は、一般に「説明責任」と訳出することが多い。しかし、会計領域では、アカウンタビリティを「会計責任」とする。

 これは財産の受託者が委託者に対して負う責任という意味である。たとえば株式会社では、株主が会社へ出資すると、経営者に受託責任が生じる。経営者は、会計期間終了後の株主総会で受託責任の結果を報告し、承認を得る。このようなアカウンタビリティのことを、「財務会計上のアカウンタビリティ」と呼ぶ。

 一方、企業には「管理会計上のアカウンタビリティ」も存在する。すなわち、企業内部の利害関係者に対しての説明責任である。