今年5月、米ワシントンD.C.において「US Military Japan Alumni Association(在日米軍経験者同窓会)」が設立された。目立たない記事であったが、我が国の複数の新聞およびテレビのホームページでも報道された。

 その内容は次のようなものだった。

半被姿のリチャード・マイヤーズ元統合参謀本部議長(ウィキペディアより)

 日米安保条約が改定から半世紀を迎えたのを機に、在日米軍勤務経験者を中心とする「同窓会」が設立され、ワシントンD.C.で5月28日その記念式典が行われた。

 式典には1990年代半ば在日米軍司令官を務めたリチャード・マイヤーズ元統合参謀本部議長ら歴代の在日米軍司令官等が出席した。

 挨拶したマイヤーズ氏は、「日米関係は北東アジア地域の安全保障の岩盤であり、責任と重要性を持つ。長く続くことを願っており、この会はそのために尽力したい」と語り、ピーター・ペース元統合参謀本部議長(元在日米軍副司令官)は「日米両国は将来にわたって二人三脚でありたい」と語った。

 別の出席者からは、この会を通じて「日米同盟の重要性を伝えたい」といった声が上がっていた。藤崎一郎駐米大使は祝辞で「日米同盟は書面だけではなく人と人のつながりで成り立っており、こうした関係を大切にしていきたい」と述べた。

 また、テレビの映像では米空軍参謀副長キャロル・H・チャンドラー大将(前太平洋空軍司令官)や政府関係者などの姿が見られた。

 日本においては、自衛隊と米軍の相互理解と友好親善に寄与することを目的として組織された、海上自衛官OBを主体とするJANAFA(日米ネービー友好協会、1991年設立)、航空自衛官OBを主体とするJAAGA(日米エアフォース友好協会、1996年設立)そして座間に民間組織としてJAAFA(日米陸軍友好協会、1992年設立)が既に存在し活動している。

 しかし、今回設立された「在日米軍経験者同窓会」は米国における組織として画期的なことであり、その概要について紹介したい。

情勢認識

 今の日米関係がどのような状況であるかについては、様々な場面で述べられており改めて述べることはしない。

 ただ、マイヤーズ大将は「同窓会」設立記念式典で、普天間移設問題を念頭に「最近も問題に直面したものの、日米安保はアジア太平洋地域で基盤となることである」と述べ、ペース大将が「沖縄県民に関心を払っていきたい」と述べている。

 このように、米国内においても日米関係が普天間問題を中心に膠着した状況であるとの認識がうかがわれる。