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 経営者には管理すべき重要な数字がある。決算書などから入手される実績データの類いはよく知られているが、それらを見ても「だからどうする?」という将来の対策には繋がりにくい。

 ここでは、特に利益を最大化することに焦点を当てて、「顧客との関係、そして利益に対するパフォーマンス」に着目した経営指標を取り上げて、経営者に求められる数字によるマネジメントを考えてみたい。

顧客の動向を知る3つの数字

(1) 平均取引額

 コンビニなどでよく取り上げられる数字であるが他業種でも活用度は広い。この額を把握すれば顧客獲得のためにリソースをどれだけ使えるかの判断材料になる。単位あたりでみると投資可能な経費の上限となる。

 継続的に計測すれば、マーケティングやセールスのパフォーマンスの良し悪しを確認できる。特に販売費の投資効率をみるには有効だ。

 また、フル稼動に近い成熟したビジネスにおいては、この額を増やすことが収入を増やす数少ない方法の1つになる。つまり、この額が少しでも増えれば投資効果が向上し、大きく利益貢献できる可能性がある。

(2) 顧客毎の利益貢献度

 自社にとって利益をもたらしてくれる顧客(儲かる客)と利益をもたらさない顧客(儲からない客)を定量的に分類しておくと、各カテゴリーに対する最適な投資方法の検討材料となる。

 過剰な顧客サービスをコントロールしたり、事業や商品・サービスのターゲティングを検討する際にも参考になる。

(3) 顧客毎の生涯利益貢献度

 上記(1)(2)の組み合わせ、顧客毎の総合貢献度を表す数値。この数字がわかっていれば、顧客を失った場合の損失を把握し、手放さないためにどれほど投資すべきかの判断材料になる。

 逆に、生涯に渡っての期待利益額からターゲティングや商品・サービスの企画・設計の検討材料になる。