昨年(2015年)、中国で会社員や経営者などの日本人が相次いでスパイ容疑で拘束された。年末には、上海で拘束されていた女性に逮捕手続きがとられたことが明らかになった。本当にスパイだったのかどうか真偽は定かではないが、普通の民間人でも簡単にスパイ容疑で拘束されるのだとしたら恐ろしいことだ。
外国人の一挙手一投足を監視
日中ビジネスの黎明期である1960年代には、日本の商社職員がスパイ容疑で拘束される事件があった。当時、中国では外国人は敵でありスパイだとみなされ、仕事のための情報収集もスパイ行為と決めつけられた。山崎豊子氏の著作『大地の子』でも、日本語が話せる主人公がスパイ容疑をかけられ、労働改造所に送り込まれるシーンがある。
中国で活動する外国人の一挙手一投足が監視されるのは、「改革・開放」政策が始まってからも、90年代に入ってからも変わらなかった。
上海で広告メディアを経営していたある日本人は、携帯電話で通話中にブツブツと音声が切れることがあると、「公安当局に盗聴されているかもしれない」などと不安がっていた。